コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

太極拳教室へ

 スポーツジムには千葉にいたときは、一週間に三回は通っていた。それを引っ越してからは別の運動をしようと、普段は考えたこともない太極拳をしてみたいと、突然思いついた。誰に聴いたわけでもない。それで、千葉にいたときに図書館から10冊の本を借りてきて、ずらずらと読んだ。そんなのは、読んだくらいで判るわけはない。なのだが、どういうものかと、基礎知識だけは知っておきたいと、まずは概略だけでもと、読んでから、入門してみようとした。
 平塚に引っ越してきてから、ネットで調べたら、いろんな教室がある。女の人ばかりの会もあり、そういうところでは恥ずかしい。ちゃんとした衣装をつけて、実技披露している写真が掲載されている。それもなんだか恥ずかしい。もっと気楽にできるところはないのかと、男性もいる会に電話をしたが、何度電話しても出ない。コロナで休止しているのか。それで、あるとき、本を携えて、近くの公園に行ったとき、体育館があるので、確か、そこで稽古をしているはずだと、受付に顔を出したら、入会申込は、市役所の7階にあるスポーツ課にありますと教えてくれた。それか、今日の午後1時半から地下の武道室で予定のある太極拳教室もありますので、そこで申し込まれたらどうでしょう。と、教えてくれた。一度、見てからだと、土曜日の午後から、やられている会を見学してみようと、公園のベンチで本を読みながら待った。
 午後に武道場に行ったら、老若男女ではなく、老老男女が10数人来ていて、まさにこれから練習を始めるところであった。わたしが入口で見ていたら、一番の高齢者の方がやってきて、「何か興味がありますか?」と、聴いてきたので、「はい、やってみたいと見学に来ました」と、言うと、いまからやってみなさいと、見学ではなく、音楽に合わせて、舞踏のように手足を動かして舞うような恰好を真似て、わたしもその中にいた。難しい。
 すると、その老人は、わたしに基本の形から教えてくれた。「今日は先生が不在なので、わたしは先生ではないのだが、まずは立つ姿勢から」と、鏡に映して、前や横の自分の姿と先輩の姿を並べて見る。やや中腰で、それは合気道と同じ。重心を下げることでより安定する。そこは言っていることが分かる。合気道もそうだが、力学で科学的なのだ。
 肩を内側に丸くするとはどういうことなのか。体が丸く、手も大きなボールを操るイメージでと、丸く丸くも合気道に通じる。円運動は強い。力は入れない。肩に力が入っている。姿勢も下にすとんと落とすような感じで、大腿骨の内側の筋肉で立っているようにか。どうしても初心者だから、腿も外側が張る。後で痛くなりそうだ。その姿勢でずっと立っているだけで汗が出てくる。いい運動だ。体で覚えるしかない。
 剣舞みたいなものもある。全員が音楽に合わせて剣を振る。そんなこともするのだ。剣は練習用でラジオのアンテナのように畳める。本番はちゃんとした剣を使うのだとか。合気道も練習に木刀の素振りもやる。毎朝、えーいと腹から声を出して素振りをした若いときを思い出した。
 平均年齢はわたしよりは下だろうが、みんな定年後の人たちばかりか。高齢者の運動だから、無理はない。それでも片足を上げたり、回ったりとしたら、わたしはよろめいて転びそうになる。ひとつひとつの動きに意味があるのだろうが、難しそうだ。
 一時間半の稽古が終わって、「どうですか?」と聞かれて、「難しいですね。でもやってみたい」と、面白そうだと毎週一回の練習に行くことにした。次回は場所が変わる。三か所くらいの稽古場があり、そこはバスで行くか、自転車でも行ける。上履きもいるな。練習はジャージでもいいし、Tシャツでもいい。月会費は2千円と安い。
 ひとつの暇潰しができた。これで覚えたことは部屋でもできるし、公園でも一人でできる。いつでもどこでもできるのがいい。それで普段使わない筋肉を使い、ヨガのように合理的に体を動かして鍛える。楽しみが増えた。
 老後の暇つぶしで埋めてゆくと、暇はなくなる。仕事をしていたときより忙しくなる。仕事は毎日同じことの繰り返しだが、老後は毎日が違う。そこから発見もある。さっそくホームセンターに運動靴を買いにゆこう。

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