コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

通販をしてよかったこと悪かったこと

 いまはリアル店舗が客足が落ちて、どこもここも赤字で大変だ。通販だけは元気で、ネットの売上も伸びている。テレビショッピングもそうだ。ネットがここまで伸びるとは思わなかった。
 わたしも古本屋をやったのが33歳の若いときからで、自分の蔵書を売って稼がないと、本業は傾いて給与も遅れて家族五人が喰うこともできなかったときだ。それもサラリーマンで給与をもらうほどは稼げなかった。女房に店を任せ、パートに出るくらいの稼ぎよりなかったが、自営業は店で子守もできたからいい。
 古本屋もゲームの中古を売るようになってからは格段に売上が伸びて、羽振りのいいときもあった。それが青森市にもブックオフはじめ、ゲオやほんだらけなどの全国チェーンが出店してきてからは、売上はどんと落ちた。仕入れも入ってこない。小さな市内の古本屋は次々に潰れた。そのころから、何か逃げ道はないかと、やり始めたのがネット通販で、1999年のころだ。初めてWivdpws98のデスクトップを買って、店の在庫をデータにすると、ホームページビルダーの出始めのソフトを買って、ホームページを作ると、そこに中古レコードの店と古本屋、絵画も売っていたので、画廊なども開いて、仮想商店街を独自に作った。子供らがそのころ遊んでいたファミコンに、ビートたけしのアイデアで作ったたけしの挑戦状とかいうゲームソフトがあり、それは面白いと、子供らがまだ小学生であったとき、一緒に遊んだ。それは商店街にたけしが入って、いろんなチャレンジをするというもので、スナックに入るとカラオケもあった。そういう商店街を自分でも作ろうと、古本屋で売っている商品をそれぞれの専門店に見立てて、その中に入ると商品が陳列してあり、注文もできるようにした。買い物かごという別のソフトも出てきて、欲しい本などを買い物かごに入れてレジに進める。リピーターを増やすために、まだブログという言葉もなかったときに、毎日更新で古本屋店番日記を連載した。それで固定客を掴もうとした。それがいまだに続いているこのブログで、23年も続いている。
 だけど、客は一日に四五人より来なかった。まだホームページもそのころは全国で3500万ページよりなく、パソコンが普及していなかったので、うちの古本屋を調べたら、一番で出てくる。なんとか客を寄せようと、検索エンジンの会社各社にそのころは手動であったので、どんどんとうちの古本屋の情報を入れた。毎週出ていたパソコン雑誌はすべて買って研究した。どうしたらうちの店が検索してもらえるのかと。そうしたら、ホームページのトップにいろんな検索されやすい文字を貼りこめばいいとあった。それは、ずらずらと載せればおかしいので、隠し文字にした。透明な色の文字で見た人には解らないように、トップページの余白に「中古ゲームソフト、アナログディスク、新刊マンガ本激安」などの文字を入れたら、ホームページへの訪問客が増えてきた。それでも一日に五人くらいの注文ではまだまだだ。
 そんなときに、ビジシークなどのいまのアマゾンと同じ通販会社が出てきて、うちのページを見たので、入ってみませんかと、誘われて、そこにデータを送った。すると、たちまち注文メールが殺到し、五万円もする全集が売れたりした。その会社にいた河野さんが独立してスーパー源氏を立ち上げた。そちらにも入った。そこのシステムはしっかりとしたもので、いままでデータにしていた在庫五千点を一気に入れた。それからは毎日200冊の本をアップするようになり、やがて10万点になるのだが、店が暇で落ち込んで客も来ないとき、潰れるのではないのかと思ったときに救世主がネット通販だった。同じデータを他のサイトにも加盟して、アマゾンもやり、楽天から日本の古本屋にも入る。たまには珍しいものはヤフオクにも出した。ネット通販の他に紙の古書目録も毎月発行して、全国のお客さん1400人に配布して注文をいただいた。店売りは少なかったが、ほとんどが通販の売上で、なんとか経営は維持できた。それをしていなかった古本屋はみんな潰れた。地元の商業仲間の老舗の玩具屋の社長と郵便局に書籍小包をどっさりと出しに行った日曜にばったりと会い、彼は羨み「いいよな、君んとこはそれがあるから。うちは店売りだけだから、玩具屋さんの大手が出てきてからは青息吐息」と項垂れていたが、それからまもなく倒産した。
 手書きの帳簿にいちいち付けて請求書も手書きであったのでが、間に合わなくなり、クイックブックスという販売ソフトを買った。それは在庫と顧客管理も簡単で、請求書納品書見積もりなどがすぐに出てきたし、古書目録の宛名ラベルも印刷できた。さらに楽々財務会計というソフトも15年くらい前から導入したら月次決算もすぐに出た。入出金などの伝票はいらなくなる。
 そうして、通販様様と喜んでいたのは何十年もなかった。どんどんと売上が落ちてくる。その原因は、本が読まれなくなったことで、古本屋もどんどんと潰れてくる。ブックオフも本以外のものを売って逃げる。さらにジモティーやメルカリ、アマゾンでも一般の人たちが自分の本を売るようになり、古本屋には持ち込まなくなる。業者はシロウトさんたちにやられて、セドラーもブックオフに頻繁に出没し、とうとううちの古本屋が倒産したのが三年前だ。30数年やってきたが、時の変化にはついてゆけなかった。通販もいいときもあれば悪いときもある。これからはどうなってゆくのか、いまはお客の視線で眺めている。

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