コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

ウォーキング

 ただ歩くということが、こんなにも意識的にするということはいままでなかった。歩くことと、自転車で走ることは嫌いではない。運動が嫌いなので、移動するただの散歩となれば、いつもしていることで負担には思わない。
 いつだったか、遠くまで買い物してみようと、歩いたはいいが、あまりにも歩きすぎて、帰りはへたばった。これから帰るのかと思うと、途中の縁石に腰かけて、買い物荷物も重く、途方に暮れたこともある。折り返し地点でこれだから、引き返すにももう足が動かない。そういうことはいままでもたびたびあった。自分の体調もあるが、限界を忘れている。小石川にいたときは、自転車でどこまでゆけるかと、北へと走り、荒川を越えて、埼玉の川口まで行って、ぐるりとサイクリングしてきたときはなんともなかった。南のほうへと走ったときは、羽田空港まで行ってみようとして、神奈川県境の多摩川まで行って戻る予定が、へたばって、途中の大井埠頭から引き返したことがあった。自分の体力をいつまでも若いと過信していて、もうそんな馬力がないと知る。東のほうでは成田空港まで行けたが、あのときは、途中で路傍に倒れこんだ。足があちこち吊って大変だった。余力を残存させておかないと、引き返さないといけない分を計算して走らないといけない。使い果たしてダウンすると、帰りはどうするのか。
 歩くときは、有酸素運動だと、口から吐いて、鼻から吸って、二回ずつ歩行に合わせてリズムをとってやる。腹筋も鍛えるために、おなかをへっこませて歩くようにする。だらだらと歩かない。競歩に近いくらい早い。それが意識的な歩き方だ。できるだけ両手も振ってやる。下半身だけでなく上半身もひねったり、ダンスを踊るようにして歩く。そのために、スマホで音楽を聴きながらというのがいい。
 どうせ、自分の住んでいるところの周辺を歩くのだから、歩いたことのない道を歩いてみようと、小さな冒険をする
 先日は滅多に通らない国道14号線のマックの向かい側を歩いたら、脇道から上に上がる道路があり、生物学研究所という看板があった。知らない大学だろうか、なんとも怪しげな細菌などの研究所が、ひっそりとあるらしいが、下からでは建物が見えない。きっと無断立ち入り禁止なのだ。そういうところでコロナの研究などしているのかもしれない。
 休みの日でも、欠かさず予定がなければフィットネスクラブに通っている。職場の同僚に言わせたら、そんなところに通わなくても、ちゃんと掃除とかしたらいい運動になるからと、まるで、わたしが怠けているように言うが、それはそれで確かに疲れる。巡回で校内を歩くだけでもいい運動だが、掃除が一番疲れる。
 休みの日にごろごろと家にいる人ではないが、とにかく出かけることだ。ジムに行くにも、いつもの通りを歩くのではつまらないと、横道に入る。いきいきプラザという看板があった。老人福祉センターみたいなところだ。前々から気にはなっていて、どんなところか見ておこうと、知らない道をどんどんと入る。二階建ての千葉市の公民館みたいなのが見えてくる。中に入ると身分証を提示して、利用者カードに書かせられた。引っ越してきて、9か月経ったが、初めて来たというと、職員さんが案内しましょうと、パンフレットもくれた。お風呂も入れるが、じじばばと一緒ではつまらないと、ここでも自分のじじを棚に上げる。ジムにもある機マシンがいくつか並ぶ。マッサージ機も無料、ゲートボール場もある。カルチャースクールもある。そういうのはどこにでもある。ただ、いまはコロナで利用者制限がされて、休止になっているところが多い。それでがらんとしている。図書室もあるが、まあ、よほど暇なときに近いから来てみようと、出てきた。
 ジムの帰りに、疲れているのに、買い物でまた知らない道路を歩いてみようと、マックのある国道14号線には出ないで、自動車学校のある坂道を上ってみた。そこは自転車で走ったことは一度だけある。検見川の駅から降りてきたのだ。途中で迷ったのは、まだ、ここに来て幾日も経っていなかったときだ。
 確か、検見川駅までの途中に、古い建物があるとネットの地図で見た。昭和初期に建てられた検見川通信所という、廃墟でもないが、使われなくなっても歴史的建物というので管理保存されている。それを探した。どこか近くにあるはずだと、グーグルマップで現在地から探した。すると、藪の中に隠れるように、コンクリートの古い四角な建物が見えた。そこで戦前の1930年に日本で初めてのラジオの短波放送が行われたとネットに書かれていた。主に東南アジア方面に流していたらしい。ネットには廃墟で幽霊が出るような書き込みもあった。見たら、それらしいいかつい二階建ての古びた建物で、鉄製の窓はすべて閉じられている。中には入れない。柵がしてあって、入れば不法侵入になる。周辺は住宅地で、新しい家が立ち並ぶ。ここの人たちは検見川の駅を利用するのだろう。JRと京成が使えるが、快速は止まらない。
 歩いているとドラッグストアがあった。大きい店だ。薬は買わないが食品も安い。なんだかんだと買って勘定したら、ポイントカードを作りませんかと、5%引きになるからと、また作る。ここは初めて来る店だが、全国チェーンだし、うちから一番近いドラッグストアになる。歩いて5分とかからない。これからも使うだろう。いい発見をする。まだまだ、近所で知らないところはある。
 一本裏通りとか、長年住んでいても、自分の家の裏側から見たことがない人がいるだろう。通ることない裏道に、まさかの異界があるかもしれない。それを見つけるウォーキングが目的を持たせて楽しさアップと、ウォーキングとウォッチングと合体させるのだ。


×

非ログインユーザーとして返信する