コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

青森からりんごが送られてきた

 三日に一遍手紙を青森の施設にいるおふくろに書いている。そこにりんごのことを書いた。東京はりんごが高いと。前にスーパーで、四個がパックに入って300円とあったので、これかは安いと飛びついたら、それは一個の値段で驚いた。いつからりんごは高級品になったのだ。梨もそうだ。庶民の果実でなくなる。普通に一個で300円400円としていて、ケーキでもあるまいしと、いつもケーキと果実は比べられるが、それならケーキを買ったほうがいいとなる。梨なんか、千葉県の名産で、確か全国一の生産量のはずが、地元でも値段は変わらず高い。柿もそうだ。柿なんか、買うものではなく、その辺の木にぶらさがっている。渋柿だが、焼酎を吹き付けておいておくと渋が抜ける。叔父が畑もやっていて、柿なんかいっぱいもらった。その柿も、いつからか庶民の食べ物ではなくなる。一個で百円以上する。立派なものはその倍以上。昔は、わたしが子供のときは、子供の小遣いで買えた果実いろいろ、いまでは贈答品かと思うような、自家消費では買えない値段になったのは嘆かわしい。
 それでも、次第にそういう物価に慣らされると、そういうものかと思うようになる怖さ。テレビでも、スイーツの新しい流れを紹介していて、ケーキなんか700円でも驚かない。パンケーキも1300円なら普通とか、価値観が麻痺してくる。食べ物も、比較して考える。わたしなら、ラーメン一杯の値段だとか、ザル蕎麦の値段と比較して安いか高いか。そのラーメンでも最近のは凝っていて、1300円があたりまえになり、ザル蕎麦ごときも1200円でどうだと、あたりまえの顔をしている。それなら、定食でそれぐらいのものはいくらでもあるわけで、何も正装してラーメンや蕎麦を食べにゆかなくてもいいと思うような値段に上がった。テレビのグルメ番組でも、価格麻痺か、それを見ている視聴者も食べたいものには惜しまないのか、かき氷でも平気で1500円を払う。フルーツサンドも流行だが、あんなもの、誰でも作れるし、芸がない。高いフルーツをサンドして、はい、900円いただきます。自分でキュウイとか買ってきて、食パンと生クリームでサンドして食べろよ。そのほうが安くつく。シロウトでも作れる芸のないスイーツが増えた。アルバイトでもできる。そんなものに大金を払う。
 ということで、果実はあまり買えない老人なので、国の親から一箱りんごが送られてきたときは嬉しい。だけど、手配してくれた妹には、高級品はいらないから、質より量で、くずりんごでもいいからどっさりと送ってくれと言いたかったが、大きなフジが16個入っている箱が送られてきた。いつもは契約しているリンゴ園からなのだが、コロナで近所のりんご屋に頼んだ。箱を開けたら、なんと、保証書が入っている。高糖度保証とある。近赤外線透過方式センサー選果とある。糖度は12度以上選果基準合格品とまで書いている。りんごも変わった。なんの果実もみんな甘くなったのは、人間も甘くなったのと比例している。昔のりんごはそうでもないし、メロンもとうもろこしもトマトもなんでも糖度が高くなる。甘いものばかり食べさせられて、みんな世の中甘くなる。それは政治もマスコミもそうだ。
 立派な大きいりんごだから、フジなら日持ちもする。職場と相方にもおすそ分けしよう。
 りんごはこちらのスーパーでも安いとよく買う。ときの黄色いりんごが好きで、早生のつがるなど酸味があって柔らかいりんごが好きなのだ。そういうのは痛みやすいので、早く食べないと、すぐに悪くなる。スーパーではそういう寸前のヘタレるものを安くするから、買ってきたら、煮リンゴにしたり、アルミホイルでくるんで、芯をくりぬき、中にシナモンと蜂蜜を入れて焼きりんごにしたり、すりおろしていただいている。
 おふくろもそうだが、息子のわたしも、逆流性食道炎まではゆかないが、ゲップと胃酸が逆流してくる。胃酸過多なのか、それで漢方胃腸薬の世話になっているのだが、りんごは制酸作用があるとかで、胃酸を抑えるようだ。一日一個のりんごは医者いらずとか、りんごが赤くなれば医者は青くなるとか、りんごにまつわるいろんな俚諺がある。りんごは繊維質もあるから皮のまま齧る。飽きたら切り刻んでサラダに混ぜる。りんごをブランデーでソテーにもする。バターの風味もりんごで生きる。これでなんとか年を越せそうだ。

×

非ログインユーザーとして返信する