コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

多国籍国家日本へ

 うちに連れ子も入れて5人の子供らがいたときは、みんなに、結婚するときは、外国人とだぞと、よく話した。長男はアメリカへ。次男はヨーロッパへ。三男は中国へ。四男はオーストラリアへ。娘はアフリカの酋長の息子と結婚させると、みんな五大陸の現地の人と結婚させて、向こうで暮らさせる。わたしは、子供らを訪ねて、世界を旅できるという筋書きだったが、なんと、娘は熊本の人と結婚したが、後の四人は青森の人と結婚して、わたしの期待は外れた。なんてだらしがない、もっと世界に飛び立てばいいのにと。
 親父はおふくろと新婚時代に満州へと渡って、営林署で働いた。その前から、叔父と伯父が同じ満州の営林署で働いていた。親父には満州でロシア人のパン屋の娘が愛人でいたし、シベリア抑留されたときは、そこのマルメロというラーゲリの所長に気に入られ、自分の娘と結婚してくれと言われたそうだ。家族ぐるみで中国人とも親しくなり、おふくろの得意料理はそこで覚えたボルシチと餃子だ。
 身内でも、海外に移住して新天地を求めたのだ。ハワイやブラジル、中米に、日本人はそうして開拓に移住していった。戦前の日本人は逞しかった。いまは商社マンで、海外に行くのは同じなのだろう。パリにも2万人の日本人が住んでいるとか、ロスが一番多く7万人暮していて、137万人が移住したり長期滞在している。わたしも老後はそうしたいと、あちこち出かけて、移住先を探したが、いいところがない。それにリタイヤメントプログラムでは、まとまった金がなければ取得できない。それなら、一か所に移住するのではなく、旅を続けてゆけばいいことだと、永住権みたいなものを取得するための現地銀行に預金する五百万貯めようという計画は頓挫した。
 この十数年でも、外国人がどんどんと日本に入ってきて仕事をしている。東京ではなく、地方都市に旅行していて外国人の通勤客を多く見たときは驚いた。富山に行ったとき、福光までのローカル線で、東洋系のどこか工場で働いている人たちで電車はいっぱいであったし、青森でも、友人が連れていったロシアンバーではロシアのホステスたちがいっぱいいた。飲み屋にはチリからも出稼ぎで来ていて、青森の役所の職員がそのホステスに15億貢いで逮捕された事件もあった。日本中、どこでもいまは外国人労働者だらけだ。それは結構なことで、政府の役人でも、経済評論家でも、これからの人口減少の日本には2千万人の海外労働者が必要だと試算している人もいた。それがなければ、経済はいずれ行き詰まり、人手不足で倒産する企業が続出する。
 満州の話に戻すと、五族協和という偽看板を掲げたかもしれないが、本気でそう思って、楽土の建設をした人もいたろう。中国人、満人、ロシア人、日本人、朝鮮人などが、仲良く平和に暮らせる国家を建設するという理想はあった。そこに、世界で迫害されているユダヤ人も移住させようという計画もあった。ユダヤ人の資金と知識を利用しようとしていた。下心があったにせよ、それが実現したら、強い国ができた。
 八紘一宇という天皇を頂点に据えた思想だから、アジア共栄圏を作ろうとしても、日本が一番だから、他国はついてこない。いまのRCEPの東アジア地域包括的経済連携はインド抜きだが、そうした経済活動も様々な目論見はあっても、いいことだとは思う。
 子供らを海外へという思いは冗談ではなくて本気だった。こんな狭い日本にいるなと、追い出してやりたい。わたしももっと若かったら、再婚相手は外国人にしたいところだ。語学の生の勉強もできるし、いろんな風習とグルメも味わえる。わたしの理想は、世界の人種を結婚で混ぜてしまうことだ。言語もそうして統一できれば、戦争もなくなる。エスペラントのような世界統一言語と、白黒イエローがごちゃ混ぜにされて、肌の色も同じで言葉も同じになれば、民族紛争というつまらない狭い範囲の諍いもなくなる。みんな親戚であればいいと、そう思うのだ。
 そのために、これからは隣近所に普通に外国人たちが住んでいて、交流されて、親しくなれば、嫌中、嫌韓ということもなくなり、いがみあうこともなくなる。国際理解が進む。身内に外国人が普通にいるといい。母はロシア人で、父は中国人、娘はインド人と結婚しと、そういうインターナショナルな家族というのがこれからはいい。
 親父はロータリークラブに入っていて、交換留学生で、わが家に二人の高校生がアメリカから来て半年、家族として暮らしたことがある。ホームスティさせて、おふくろは英語の勉強になったし、わたしも異国の妹と弟ができたように、あちこち連れて行った。二人ともお兄さんみたいと言っていた。
 最近の事件で、ベトナム人の犯罪が目立つ。それは、日本での受け入れも悪い。安い違法な賃金で働かせ、奴隷のように使っている悪い会社を摘発すべきだ。彼らも追い込まれなかったら、盗みもしないし、ちゃんと日本で暮らせるのだ。衣食足りないから礼節を知らない。最低賃金を外国人にも守らない企業は違法ということで取り締まらないといけないし、海外でも日本でもそういう悪いブローカーを捕まえないといけない。不法滞在もいけないが、就労ビザと、国籍を取らせるのももっと緩和させないと、いつまでも保守的で外国人を受け入れる体制はできないだろう。アメリカはこれからさらに伸びるというのは移住を受け入れているからだという。それも犯罪絡みで、歯止めをかける動きがある。自由の国もそうなのだが、それも社会が外国人差別で底辺に置くからだ。対等に働いてもらうための労働環境から作ってやらないといけない。

×

非ログインユーザーとして返信する