コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

図書館からの冤罪

 図書館に本を返しに行ったら、うっかりして月曜日で休みだった。それで、外のブックポストに返してきたのが、三日前だった。また図書館に本を借りに行ったら、1冊返却されていないと窓口で言われる。そんなはずはない、ちゃんと10冊いつも確認して返している。家にありませんかと聞かれる。部屋にはない。そんな広い部屋ではないし、本の置く場所は決まってる。まあ、まだ返却期限に一週間はある。それまでどこにあるか探してみよう。きっと、図書館で返却時にハンドスキャナでピッとやるとき、漏れたのだろう。そのまま書架に返したら、わたしが借りたままになっている。次回、図書館に行ったら、その本の整理番号で書架を調べよう。職員さんたちは、自分たちのミスではなく、利用者が忘れてきたものといつも思っている。


 前にも青森の図書館でいろいろとあった。借りてもいないタイトルの本が、青森市の南にある大橋という陸橋の歩道に捨ててあったのを図書館のシールがついているので、通行人がわざわざ届けてくれたというのだ。それで、誰が借りたか調べたらわたしになっていたという。タイトルは女の子が読むような本で、誰がそんな本をこんなじじいが読むかと、濡れぎぬを抗議したことがあった。だけど、向こうは頑として譲らない。わたしのせいにさせられた。コンピュータはいつも正しいわけではない。それを操作するのが人間だからだ。間違いはあるのに、利用者のせいにされて、わたしも気分を害した。どういうことでそうなったのか。コンピュータの誤作動か、書籍の整理番号が重複したとか。廃棄された本もあるから、その番号がそのまま使われたとか。いずれにしても、図書館とは喧嘩はしたくない。いつも利用しているから、ケツをまくって、もう二度と来ないわと啖呵を切るわけにはゆかない。泣き寝入りのときがほとんどだ。
 東京に出てきてからもあちこちの近くの図書館をよく利用した。目黒の図書館のことだが、そこでは、返した本が汚れていると言われた。あなたがやったのですかと聞かれる。見たら、本の天とページの中まで、何か飲み物か食べ物か、醤油のシミみたいなのがずっと余白部分まで汚していたが、それはわたしが借りて読んでいるときも気にはなった。わたしは、借りたときからこうでしたと、身の潔白を主張したが、相手は疑いの目で見る。「そうですか?」と、いやらしい目つきで見た。頭にきて、その時に借りる本を書棚から探してカウンターに持ってくると、一冊ずつ確認すると、「ほら、ここにシミがあります。この本もここに濡れ跡」と、指摘して、同じ女性にほら見ろとばかり、つきつけた。これも返すときにわたしのせいにされたくないし、他の方が借りたときも、同じように言われて気分が悪いから、そういうことがないように証明書を付けてください。と、怒ったように言った。すると、さっきまで勝ち誇ったような職員のおばさんが、急に小さくなって謝る。それまでもそう言われたことが何度かあった。きっとみんなが頭に来ていることだろう。
 そうしたら、そういうシミや汚れのある本には、汚れありますというシールをカバーに貼るようになっている。それを怠慢でしていないのだ。その責任を利用者に押し付けるとは何事か、館長を呼べ、責任者出てこい、とは言わない。次からカスハラでマークされても嫌だ。ただ、わたしも古本屋を30数年やってきて、本に携わる仕事をしてきたので、図書館愛好者として喧嘩はしたくない。一応、今後のこともあるので、うなだれている職員さんたちに、「書棚の本を見たら、随分とチェックされていない汚れ本がありますよ。忙しいでしょうが、ちゃんと見直したほうがいいですよ」と、進言だけした。


 一番悪いやつは本を汚した利用者だ。どこの図書館でも文庫本が多いが、見たら、ひどいのがある。飲み物のシミは本を読みながら零すなよ、飯のときに本を食卓で読むなよ、と、大事にしない一部の心ない人は、どうせ、借りた図書館の本だから軽く考えているのだ。自分の本ならどういう扱いをするのか。まして、友達や先輩から借りた大事な本を汚したらどうするのか。だらしのない人はいる。そういう人は一事が万事そうなのだ。きっと部屋も汚して乱雑、テーブルの上もびとく掃除もしていないとか、なんとなく見えてくる。


 古本屋時代に、本の仕入れでお邪魔すると、見たら大事にしているかどうかすぐ判る。本棚からして乱雑で、医者のおばあちゃんの家に仕入れで行ったときは、本棚の本がすべてよれていた。曲がっているのは、きちんと立てておかないからだ。変形した本はなかなか直らないし、しかも、ページを見たら折りこまれたり、あちこちロバの耳だ。そういう本を売り物にする手間のほうが高い。それで、そのときは大半の本は買えませんと置いてきた。
 線引き本も困る。わたしの高校の同級生で建設会社の社長をして倒産したが、蔵書の処分を頼まれて驚いたのが、よく勉強したのだ。民俗学が多く、定価が何千円もする専門書ばかりだが、中を確かめたら、すべてにマーカーで線引き。せめて鉛筆なら消したのに。それは買取が10分の1くらいに下がった。
 図書館の本にも書き込みはいっぱいある。どうしてするのか。公共のものだろうがと、腹が立つ。それだったら本屋で買えよと、本人に文句を言いたい。切り取りなんかしたら器物破損だ。本は大事になでなでして読むのだ。モノでしかないと思う扱いは、読書の資格はない。次に読む人のことまで考えてやらないと。


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