コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

ショッピングセンターという居場所

青森から、同人誌が送られてきた。わたしも短編小説を出した。エッセイと小説を仲間たちが書いていたのをじっくりと読み、合評会が月中にあるが、出られないので、感想はメールで送った。
 その同人誌の仲間たちはわたしと年が近い人ばかりだが、老後の身の置き場のことを書いている。カメラの好きな川柳人は、自転車で花の撮影に走り回る。編集子の友達は、図書館に行ったり、街ぶらをしたりしている。みんな老後はそうして暇つぶしに忙しい。わたしと似ていることかと笑う。
 図書館もわたしにとっては休みの日の居場所のひとつだが、街ぶらを除けば、ショッピングセンターというところも居場所にはなる。夏の暑いとき、冬の寒いときは、海と山と公園もダメというと、室内で遊ぶよりない。雨が降ったり台風が来ても、開いているところがショッピングセンターだ。幸い、わたしの住む千葉市はあちこちに巨大なモールがある。別に買い物の趣味はないし、そんなモノを買うというストレス解消はしない。グルメもあまり興味がない。若いときから、ショッピングは嫌いで、女房と子供をショッピングセンターで下ろして、後で迎えにくると、一人古本屋に走っていたりした。
 いまは広い店内のベンチに座って、雑音の中での読書が捗る。それか、コーヒーを飲んでの読書か、タブレットPCを持参して、ファーストフードの店でワイファイもフリーなので、電源もとってと、利用させてもらっている。午前中は空いているし、長くいてもご迷惑にはならない。午後には全国チェーンのレストランに入る。そこも飯のためではなく、ドリンクバーだけで2時間ぐらいいる。店内が混んでいれば入らないが、昼時が過ぎればがらがらで、何時間いてもいいかなと思う店に入る。ドリンクバーは300円前後で、なんでも飲めるが、そんな飲むために入るのではなく、時間を潰しに入るのだ。どこでもそうだが、座れるところ、邪魔にならないところ、飲み物はどうでもいいが、静かでなくてもいいところで、閑な店に限る。
 それで帰るというのも店の利益にはならないと、インテリアや紳士服のコーナーも覗いてゆく。ワゴンに処分品と書いたところを覗く。あるショッピングセンターでは、午後3時になるとタイムサービスを行う。その時間にたまたま入ったら、マイクで叫んでいるから、そそくさとそこに行く。他の主婦たちも、あちこちから集まってくるから判る。ワゴンに積んでいるのは、季節商品が多い。夏物処分とか、それでも来年また使おうとは買わない。いらないものは買わない。オールシーズン使えるもので、在庫処分品、持ち越し商品が半額とかになっている。タイムサービスではそれがさらについている値札の半額になる。ホーローの蓋つきの大きな鍋が、2000円の定価が、半額の千円になっていて、さらにタイムサービスで500円だ。買った。在庫品限りと、四人くらい座れるレザー張のソファがたったの5000円、それはさすが買わない。第一、部屋が狭くなるし、引っ越し荷物になる。わたしが買うのは、宅配便でも出せる大きさと重さのものに限る。近い将来の引っ越しは、すべて宅配便で送れるものだけとする。そうすれば、ひと口1500円以内で送れる。10個あっても15000円の引っ越しだ。


 地階の食品売り場は喰うためには絶対に覗く。食欲はないが、その中でも食べられる、口に入るものだけ買う。それでお得なものがあれば果実なら無条件で買う。先日は6個で色の悪いりんごが大きいのが、400円で売っていたので買ったが、食べたらやはり不味い。それはそれで、砂糖で煮りんごにしたり、芯をくりぬいて、シナモンとバターと蜂蜜を真ん中に入れてアルミホイルでくるんでオーブンで焼きりんごにした。それか摺り下ろしていただく。果実は無駄がない。おやつの代わりにはいい。
 と、帰りは背中が重い。自転車で行けるところにはかなりのショッピングセンターがある。幕張や稲毛海岸、モノレールのスポーツセンターのほうまで走る。コロナでどこにも行けなかった腹いせにショッピングセンター巡りで我慢している。いまや老人たちの居場所はそこが多いのは、ベンチや椅子に座って場所取りも大変だから判る。平日なんかは老人ばかりが、バスで来る。中には無料のシャトルバスもあるから、送迎付きでぶらぶらできるのだ。老人福祉センターやコミセンにはどうも抵抗がある。自分はまだ老人とは思っていないので、近所にあるいきいきプラザなど行ったこともない。無料でいろんなものを使えるのだが、それは老後にしようと、いまは老後ではないのだ。


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