コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

70歳を過ぎたら特典

 70歳を迎えたら、世の中が変わる。という大袈裟なものではなく、わたしも知らなかったのだが、医療面でも特別措置があるのだ。結構、知らないで、病院の窓口で言われて初めて知ったという人は多いだろう。わたしも自分は老人ではないと思っているので、そういう改定とかが新聞に載っても、見なかったかもしれない。
 先日は、平塚に来て初めて近くの内科を受診した。医師から言われて、再来週に予約を入れて、国保の無料の健康診断もしましょうと、確か封筒がわたしにも来ていたが、その受診券をお持ちくださいと言われて、そのときは、簡単な診察といままでの飲んでいた血圧やコレステロールの薬を処方してもらい帰った。
 そのときは70歳になったばかりの誕生月であったが、月末に市役所から新しい国保の保険証が送られてきた。国保になったのも久しぶりで、ずっと仕事をしていたので社会保険であった。その保険証には2割負担と書いている。それは知っていた。確か、その前までは70歳過ぎたら1割負担であったのが、2割に上がったのだ。それも新聞で見て、さして気にもしなかった。わたしの場合は年間の医療費はたいしたことがないからだ。内科と眼科に通っているが、内科は二か月に一度で眼科は三か月に一度だ。年にしても3万円くらいのものだ。薬は仕方なく飲んでいたし、ずっと何十年も病院にはかかっていなかった。血圧が高いくらいなんだと、放置していたが、上が200近いとさすがにふらつく。友人たちが次々に倒れて脳梗塞と心筋梗塞。それを見ていたから、まだまだ遊びたいのに寝たきりにはなりたくないと、受診することになる。
 内科では血圧手帳をよこして、朝晩測って受診のときに持ってきてくださいと宿題だ。10年くらい前にもつけたことがあった。血圧計はあるが使ったことがない。それで朝晩記録することになる。薬は飲んでいるが、朝はどうしても高く、上が150以上で下が100少し。下が高い。夜は下がって上が130以内で下が80ぐらいと正常値だ。ずっと安定しているから、前のような眩暈や具合が悪くなることはなくなった。
 眼科に行ったのは月を越えて、新しい保険証になったときだ。レーザー治療をして窓口で言われたのは月の限度額を超えたので、18000円ですと請求された。それで知ったのだが、高額療養費制度というのが適用されて、70歳過ぎたら収入にもよるが、わたしの年金では月額18000円以上は国が負担するのだ。年額でも上限が144000円までとなる。それは助かる。何かあったときは年金生活者になったら湯水のように医療費は払えない。
 一週間後にまた眼科に行った。レーザー治療の経過を見たいというので、いつも混んでいる眼科だから待たされる。三時間は覚悟した。それでも文庫本はどっさりと持っていって待たされるという苦痛もない。いろいろとまた調べて、精算に受付に行ったら、5800円の請求が只だというのだ。もう限度額は越えましたので、これからはかかりませんと言うのだ。どこの病院に行っても、今月はもう只なのだ。別にスーパーで卵がプレゼントというような嬉しさではないが、何か得したような。それが老人の70歳過ぎたらの特典なのだ。
 他にもある。これは65歳以上の高齢者の特典なのだが、神奈川中央交通、われわれ地元はカナチューと呼んでいて、バス停にも神奈中と書かれているが、そこのシルバーパスは月当たり千円ぐらいでバスが乗り放題になる。それなら買おうかなと思ったが、まだ躊躇う。バスばかり使うと歩かなくなる。自転車も使わなくなると運動不足になる心配がある。それでも秦野市や相模原などにも行けるのかな。だけど、よく見たら、一回の乗車で別に100円払わねばならないと書かれていた。それならそんなにお得でもない。
 青森市でも70歳以上になると、シルバーパスがあり、市営バスが千円で昔は乗り放題であった。いまはどうか。それを初めて手にしたペンの仲間が、市営バスの旅をエッセイに書いた。70歳になって初めてパスを手にしたときは、毎日がバスの日帰り旅になると、どこまで行けるのかと乗りまくる。西の端は浪岡駅まで。東は平内町、南は雲谷だろうか。そうして暇つぶしの散策ができるのだ。
 千葉でもそうだったが、平塚市でも美術館は無料、いろんな観光地も只と、嬉しい。食べ放題の店に行っても、シニア割引があるが、それは安くてもそれに見合うぐらいしか食べられなくなっている。若い人たちと競っても無駄だ。
 わたしはたぶん、自分で言うのもなんだが、年齢よりは若く見える。それでいつも電車のシルバーシートに座るのがどうも遠慮がある。白髪も染めないで、杖をついらいいのか。年相応に見せないと、受付で身分証を提示するときに相手は顔をじっと見る。この人、本当にシニアなのかと。すみません、アンチエイジングで若作りしているもので。いちいち説明するのも面倒くさい。髪はビゲンヘアカラーで染めてまして、服はGUから若者の安い流行のTシャツにハーフパンツでと、釈明しなくても年齢確認したら解ることだ。
 この前は旅行先で天心美術館では割引で90円であった。なんだか申し訳ない。老人に手厚い福祉もいいが、若い人たちのほうが大変だろうと、なんだか小さくなって恩恵を受けている。

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