コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

相模川

まだ平塚に住んでひと月、街ぶらは続く。休みの日といままでは書いたが、ずっと休みだ。それがまだどうもピンとこないでいた。退職して十日以上経っているのだが、長年の習慣が抜けない。
 この日は茅ケ崎との境を流れる相模川に歩いて行ってみようと、リュックサックを背中にさっそうと歩く。歩くことが老後の仕事だ。足から老いてくる。万歩計をスマホで見るのが楽しみになる。目標は15000歩に設定していた。
 まずは、平塚駅南口にある年金事務所に住変で行くが、市役所と連動しているから出すものはないという。年金基金と企業年金だけ連絡したらいい。その近くに私設の図書館を発見する。升水記念市民図書館というが、コロナで閉鎖中。升水さんはお医者さんとある。地域の文化のための私立図書館も珍しい。
 その近くの地元の小さなスーパーに寄ってみる。すると、酒粕が300gで99円と積んでいた。チーズもベラボウに安い。いつもの半額ばかりがずらりと並ぶ。賞味期限は7月までだ。それと本物のバターも半ポンドで190円と積んでいた。いまから散歩で暑いから溶けてしまうだろうと、帰りに寄ることにした。ところが、帰りに寄ったら、バターは残りがたった一個だけ。やはりお客も安いのを知っている。いい店を見つけた。
 前に何度か行ったオリンピックのショッピングセンターのさらに奥にホームセンターとスーパーがくっついた複合ショッピングセンターがあるのを地図で見つけた。それで、そこに行ってみる。買い物も兼ねた散歩なので、何かお得なものはないかと、探し歩くのが趣味になる。園芸コーナーが充実していた。ベランダもだいぶ賑やかになってきたが、前から薔薇も育ててみたいと、シロウトだが、ミニバラの小鉢を買う。安かった。ツルバラも買って、ベランダの柵に巻き付かせたかったが、どんなものだろうか。手入れも大変だろうし、死なせたら悪い。スーパーでもお買い得を見つけて買う。
 そのスーパーの裏手がもう相模川なのだ。なんだ、近いと、橋のたもとに立つ。川向こうは茅ケ崎市で、これならうちから歩いて行ける。ぶらぶらと寄って歩けばそんなに大儀でもない。この日の目的は馬入のお花畠を見に行くことだった。ユーチューバーが平塚案内をしているのをたまに見ていて、ネットでも調べていた。橋の手前に一里塚のあったところと碑が建っている。江戸から一里だから、約4キロごとに里程標が建てられた。ここは馬入の一里塚と書かれていた。相模川の土手は広い。河川敷はサッカーの練習場になっていた。それとお花畠が拡がる。艇庫もあり、多くのクルーザーが陸揚げされている。ジェットスキーが川を我が物顔で走る。
 土手に馬入の渡しという歴史案内の碑があった。大きな川なのだが、家康は橋を作らせなかった。大井川もそうだし、東海道には橋のない一級河川が多かった。それも戦略上のことで、渡しで補っていた。馬を乗せる舟と人を乗せる舟、大名などの舟と、当時はここも駅のように賑わったろう。当然、渡しの業者だけでなく、団子屋やお茶屋など店もあったろう。
 イシックス馬入公園と書かれていた。3万平米のポピー畠とヤグルマギクとラベンダーが壮観だ。広いのに誰もいない。何人かカメラを手にした老人たちがいたが、彼らは花ではなく野鳥を撮りに来ていた。夏にはひまわり、百日草、秋はコスモスと四季の花が一面に広がる。ばにゅうとはどういう意味からと調べたら、源頼朝がここで落馬して亡くなったことからつけられたとある。いいところだ。独り占めは悪いような気がする。こんなにも一面の花が誰のために咲いているのか。
 まだまだ平塚は奥が深い。行っていないエリアがある。自転車もひと月以上乗っていないが、錆びたらいけないので、乗り回そう。そうすれば、行動半径はさらに広くなる。これからは毎日が散歩なのだ。梅雨はどうなったのか。ずっと天気が続いている。


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