コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

部屋を遊ぶ

 生活初日だった。まだ部屋が荷物がそのままで、足りないものばかり。炊事ができない。仕事明けで、日曜日。平塚駅に着いたら、確かOKスーパーがあるはずだと、商店街を見附町のほうに歩く。商店街も長く、駅前だけではない。見附の跡に建物がありその歴史が書かれている。平塚宿があったところだ。東海道五十三次のひとつで暮らすというのも不思議な感じがした。
 スーパーはわたしが東京でよく使った。ポイントカードでさらに安くなる。昼と晩の弁当も買う。海老が三本載った天丼が290円。背中とエコバッグがいっぱいになる。そこから歩いてマンションまで帰るのだが、高麗山がある方向が東側で丹沢大山の見えるのが北だから、方向は間違わない。
 部屋に入りぐったりとした。疲れている。仕事帰りでもある。弁当を食べてベッドで昼寝をしていたら、ピンポンと宅配便が来る。稲毛から積み込みできなかった衣服などの9箱が配達された。すごい強風で、ドアが開かない。台風のようだ。各地で被害が出ているらしい。続いて電気ポットが配達されて、壁に飾る海の写真パネル3組とビーチサイドの絵のタペストリーが来る。これで頼んだものが来た。後はプリンターとパドルボードとパソコンラック、チェストだけ。
 寝てばかりもいられない。部屋を片付けないと。まだ引っ越しは終わっていないのだ。この部屋は収納がいろいろとあるから助かる。稲毛はあまりなかったから、衣装ケースに入れたまま、そこから出し入れしていた。クローゼットに衣服を吊る。冬ものはそのまま仕舞う。台所では食器棚に並べ、洗濯機もセットして使えるようにする。テレビのコードとリモコンが出てきて、さっそくテレビをつけたが、何故かNHKだけが受診できない。稲毛では見ていたが、ここはN党の本拠地なのか。それは後でリモコンの設定で見られるようになる。BSが入るのでどうしたのかと思ったら、2か月だけ無料で見られるスカパーなのだ。契約しないといけないが、テレビはあまり見ないしつまらないからどうでもいい。音楽も聴けた。FMのアンテナをベランダの窓に回す。カーテンもつける。壁には海の雰囲気のタペストリーを貼る。チェストが来週に配達されるので、いまは夏物の衣類はコンテナに入れたまま。
 IHヒーターはついた。それでお湯を沸かしてコーヒーを淹れた。ダンボール箱はすべて畳んで階下の所定の場所に出した。すると部屋はすっきりとなる。
 足りないものを近くの業務スーパーに買いにゆく。歩いて5分とかからない。ケチャップや味醂、オリーブオイルなど重いものばかり。
 東京の息子たちにメールで住所を教えたら、返事が来る。今度は湘南だって?と驚いていた。ころころと引っ越しする親父をおかしいと思っている。サーフィンもしようとボードを買ったと書いたら、すごい変わりようと、サザンのファンの長男は笑っていた。メールでWというのは笑いのことか。お父さんは70歳の成人式を迎えたのだと書いた。長男から、何かあったら電話かメールで連絡してよと。ついで、孫娘たちの写真を送ってくれと頼んだ。青森の孫の写真は嫁さんから送ってきたから、東京の孫たちも大きくなったろうが、6年も見ていない。ディズニーランドに連れて行ったのはいつだったか。まだ小学生や幼稚園であった。もう大学生や高校生になっている。写真立てに入れて部屋に飾りたい。またじじになるのか。
 いままでは部屋などはどうでもいいものであった。ただ寝るだけの箱だ。それが、これからは部屋を遊ぼうと思う。男は割合とどうでもいい無頓着なのだが、今度からはまた観葉植物も買ってきて玄関に置く場所があるから緑もあればいい。これからは部屋にいる時間は長くなる。そこは男のアジールなのだ。生活も楽しまないといけない。どうでもよく暮らすのでなく、部屋を海にしてパドルボードが来たら壁に立てかけ、ウエットスーツも吊ろう。すっかりと湘南だ。老後のエルミタージュとして一人暮らしも遊ばないと。


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