コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

妄想性パーソナリティ障害

 相方という言い方はおかしいかもしれない。一年以上前にもう別居していて、籍を入れていたわけでもない。事実婚で5年と数か月同居していた。ここでも書いたが、初めから精神的におかしいので、精神科の受診を彼女には勧めたが、自分は気違いではないと、泣いて、怒ることもあり、わたしのほうがおかしいと言われて、ずっと放置されていた。その前からなので、もう何十年も病院に行ったこともない。仕事もしていたのは、頭はいい人だし、人当たりもよく、てきぱきと仕事はするので、端から見たらどこもおかしくはない。それが親しくなり、話し込んだら、おや、それって被害妄想と、誰でも思うのだ。わたしは、主治医になったつもりで、図書館に通い、その手の本を何百冊か読んだ。できることはなんでもしようと、本で読んで効き目のありそうなことはすべて試したが、薬ではない。
 統合失調症ではなく、それよりも軽い妄想性パーソナリティ障害ではないのかと、いろいろとネットからも調べて、自分でそう判断した。薬はなく、治りにくいことも知る。保健所二か所とクリニックの先生とも相談したこともあった。精神病院の相談窓口にも行った。都立松沢病院は大きな病院で、その専門では一番という歴史もある。そこに相談に行ったのだ。一人娘がいるが、二人で動いたのは、わたしは入籍していないので、第三者で、入院ということになっても、何もできないので、娘に動いてもらった。
 娘はのんびりとしていて、わたしに怒鳴られてから、本気を出して千代田区に相談に行き、相方を騙してというわけではないが、あれほど拒絶していたのに、自分がかつて働いていた東大付属病院の精神科にはすんなりと受診することになったのは、去年の秋だった。いまもそこには通院している。薬は飲んでいるかどうかは聞かないし、あまり刺激させたくないので、そっとしているが、いい方向には向かっていた。ただ、単発で出てきた症状ではなく、娘の話では、小学生のときからおかしな言動はあったというから、もう20年以上も放置してきたから、治らないかもしれないと言われた。原因は東大病院でも本人から3時間に渡って身上をを聴いた結果だが、シングルマザーで娘を育てていた関西で、何度かトスーカーに遭って、それがトラウマになったのではないかというのは、わたしもそう思っていたところだ。いつも誰かに見張られている。盗聴されている。部屋に侵入してきていると、防犯カメラを二つもつけさせたし、鍵は三個で、何万円もする電子キーもつけさせた。それでも無駄とわたしはいままでのことがあるから信用しない。これなら絶対に大丈夫と、本人が最初は言うが、それから数日して、何者かが侵入して、盗られたと騒ぐ。何が盗られたのかと聞いたら、布切れ一枚とか、どうしてそんなものを盗るのだと聞いても、いたずらだというのだ。なくなったのは後できっと出てきた。それは別人格の彼女が仕舞ったところが判らなくなるのだ。三個も鍵をつけて、誰がどういうふうに入ったの? と聞いても、科学的ではないし論理的でもない。ただ、透明人間のようにドアをすり抜けてきたとしか思われないが、そういう荒唐無稽でもないのだ。外に止まっている関西の方のナンバーの車は自分をつけてきていると、スマホで写真も撮り、ナンバーを控えている。もし、その車がヤクザで大変なことになったらどうするのだと、それは心配した。
 一緒にいると、夜中に起きて歩き、寝ているわたしの耳元で囁く。それですっかりと不眠症になり、医者から睡眠薬をもらって飲んでいた。とうとう耐えられなくなって、去年の2月に千葉に引っ越して逃げてきたのだ。そうしたら、仕事をしないと家賃が払えないし、喰ってもゆけない。わたしが養うこともなくなると、誰も生活の面倒はみない。娘も母親のことは知っていて、一緒には住めないと言って別に暮らしている。娘は、千代田区に生活保護の申請もしたらしい。そのためか、区の職員さんも、同席して、娘と本人と保健所の人と4人で東大病院の受診のときに立ち会ったという。診断結果が生活保護には必要だ。いま、彼女は都営は無料のパスを貸与されて使っているが、いくら手当をいただいているのか、わたしはプライドの高い人なので、聴かないことにしている。それでも仕事もスポットでしているが、週に1度くらいか。それも判然としないが、暮らしてゆける収入はないはずだ。ぎりぎりでやっているのが判る。いつも金はないようで、小銭は月に一度会ったときは、わたしがランチや温泉に連れて行って出している。
 たまに電話もくるが、どういう生活をしているものか。先日は、千葉に来たので、イケアで飯を食ったが、そのとき、変な連中がうろつかなくなったと、わたしに話していた。薬が効いているのか。病院ではどんな治療をしているのか。カウンセリングだけでも治療効果は出るのだろう。いまは、全然ストーカーも出ないし、安心した暮らしをしていると、機嫌もよかった。いま、暮らしている千代田区のワンルームマンションは古いから安いが、セキュリティはちゃんとしている。それより、わたしが話したら安心していたが、周囲が靖国神社と皇居だから、いつも裏道にもバリケードを張って、パトカーと警官が待機している。不審者が通行できないように、厳重な警戒をしているのだ。警官たちがいつも見回りしているし、パトカーが巡回している。交番には警官が何人か立っている。この辺りは、おかしいやつは通れないのだと教えた。わたしも引っ越しで飯田橋のレンタカー会社からワゴン車を借りてきたとき、道路の先が封鎖していたので、レンタカーの人に通れないと言ったら、免許証を出して、所用を話したら通してくれますと言われた。わたしの免許証は、裏には千葉の住所に変わっているが、表は千代田区になっているから、見たら、そのあたりで暮らしていたと判るのだ。
 いまは右翼の街宣車も取り締まられて走らない。隣国の人のテロもない。それでも一度そういうことがあれば、都心の皇居でおかしいことが起これば警察の威信にかかわる。警視庁も近いところで何もないように、日々警戒しているのだと話したら、ますます安心しているのだ。わたしのことも頼もしいと言う。何かあったら、いつでも飛んでくるから、君を守ってやるからと、正義の味方みたいなことも言う。いつでも平塚から飛んでくると、まるでウルトラマンか。
 安心材料をすりこませて、次第にPTSDがなくなればいい。それだけなのだから、普段はいい人で、話し込んでは笑わせている。顔を赤くして声を出せないから、見ていて楽しい。レストランでも面白い話を考えて笑わせることがわたしの治療法なのだ。今度は何で笑わせようかと、ギャグを考えているのもコロナの暇つぶしにはちょうどいい。


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