コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

新しい生活のために

 いままでの千葉の生活は、どうでもいいところがあった。引っ越したままに、押し入れに衣装ケースごと放り込んで、そこから着替えを出し入れしていた。冬ものと夏ものの衣替えはするが、普段着ている下着やタオル、靴下などは、ごちゃ混ぜだ。ちゃんと整理したいが、タンスがない。それで、衣装ケースからみんな出して、ハンカチはパンツはと探すのだ。だらしのない生活、どうでもいい生活だ。
 それではいけないと、今度は平塚に行ったら、きちんとしようと、チェストぐらい買おう。そうしたら、分類整理ができて、ひっくり返して探さなくてもいいのだ。そういうあたりまえのことが、男やもめは判っていて、やらないのだ。
 押し入れもドアが閉まらない。開ければ衣類が降ってくる。台所のシンクの下もどうにかしたい。開き扉を開けたら、鍋からフライパン、コップまで騒々しい音をたてて、崩れ落ちてくる。いい加減、どうしてこんなに自分はだらしがないのか。本来はそうではなかった。青森にいたときは、きちんとしていた。それは人が来るからだ。いけないのは、誰も来ない一人暮らしだから、どうでもよくなるのがよくない。
 今度の平塚のマンションは収納が多い。食器棚もあるから、そこに食器は並べよう。そうしたたら、鍋と丼と皿とコップががらがらと落ちてこないで、ご近所迷惑にはならない。騒々しいと隣は思っているだろう。
 それで、相方が来たから、どこかに行こうかと、前々から行ってみたかったという南船橋のイケアに連れてゆく。わたしは去年の暮れに別に買うものはないのだが、どういう店かと見に行った。あのときは、12月30日だったか、年末なのでものすごく混んでいた。南船橋駅はわたしの住む稲毛海岸駅から三つ目で近い。快速なら10分もかからないだろう。イケアは駅前にある。その隣がららぽーとのショッピングセンターで、そこも入ったが、広くて買うものもなく、ただウォーキングが目的で歩いただけ。
 相方とは、去年、渋谷にできたイケアに行って、日用品を買った。安くてセンスのいいデザインはスエーデンだという感じがした。初めは、ヨーロッパを旅行したときも、あちこちにイケアがあり、わたしはてっきりと池谷と思い、日本の会社も頑張っているなと感心していた。笑い種だった。
 あまりモノは買わない主義なのだが、今度平塚に引っ越したときは、ちゃんとした生活を送りたいと、ごちゃごちゃはやめよう。そのための家庭日用品を買いにきた。そんなのは平塚でも売っているだろうが、イケアは確かなかった。横浜に出たらあるのだろう。
 ikeaの渋谷の店に行ったら、価格の安さとデザインのよさでさすが北欧だと、見て回る。それでも男所帯だから、別に台所用品にこだわることもなく、あれこれと私物を増やしたくはない。だけど、整理がつかないと、整理のためには必要だろうと、大きなイケアの店を二人で回る。カートに小物だけだが、百円ショップより安い70円とかの皿を入れたりした。何故か板チョコも売っている。ヨーロッパのチョコだが、なんと100gで90円なのだ。安いし、前に買ってうまかったので、相方も買う。
 孫の写真を貼るところがないので、押し入れのドアの剥がれたところに差し込んでいた。それでは可哀想だと、写真立ても買う。わざわざ嫁さんから送ってきた写真だ。孫の顔もどこか部屋にあると潤う。
 玄関のシューズボックスの上がモノが置けるスペースがあり、そこに観葉植物を置こう。それと、ガラスの容器にポプリを入れて、生活臭がしないように、そこまでするとまるで女の子みたいだが、どうでもいい暮らしよりはいいだろう。
 二階にはカフェテリアがある。客席数は何百とあり、広い。この日は平日だが、混んでいた。デザートからメーン料理まで好きなものをチョイスして、レジカウンターに進んで精算する。美味しそうなイチゴのムースやヘーゼルナッツのどっしりとしたキャラメルケーキ、ミートボールに鮭とサラダミックスのプレートなどトレーに載せたが、ちょっと食べられるかな。ドリンクバーは100円だ。年末に一人で来たときは、そこでガナッシュケーキとコーヒーで290円だった。そのときに比べたら、そんなに混んではいないので、ゆっくりと食事した。
 それからまた買い物の続き。生活をプレゼンする部屋をあちこちに設けている。具体的に街の名前を出して、そこに住むワンルームの28歳独身の女性の部屋とか、三人家族のリビングルームとか。
 暮らしに夢を持つのは悪いことではない。独身時代の20歳のときに、わたしが住んだ板橋のマンションの部屋は、海がテーマだった。天井から魚獲りに使う網を買ってきて吊った。ガラスの浮き玉も吊って、海底の雰囲気にした。横浜で暮らしたときに、港に捨ててあった漁船の浮き輪を拾ってきて、なんとか丸と書かれていた壊れた浮き輪にラッカーで白く塗装し直して、それも壁に飾った。海が好きで、ヨットの模型も自分で一から作り飾っていた。ベッドの上はすべて海だった。
 今度は別にテーマはない。整理整頓した生活でいい。やたらと壁に貼ったり飾ったりするのは好きではないので、シンプルでいいが、機能的でなければいけない。新居をそうして意識することはなかった。まあ、いろいろと遊んでみるのもいいだろう。ただ、モノは増やすな、いらないものは買うな、ゴミになるものはいらない。質素に、あくまでも金のかからない生活をするのが年金生活なのだから。


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