コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

お天気の依田さんに誘われて

 テレ朝の天気予報士の依田さんが出ると、関東周辺の公園から中継したりする。わたしはニュースと天気予報は毎度必ず見ているが、そのとき、たまたま千葉市の郊外にある農園から中継していた。芝桜とネモフィラがピンクと薄紫の絨毯を敷いたようにいまが盛りで、ポピーも満開だ。そんなところがあるのかと、相方から電話が来た。わたしは去年から行ってみようとチェックしていたが、なにせ交通の便が悪いし、乗り換えて行かないといけないので、別にいいかと諦めていた。相方は仕事中に突然電話で、明日暇? と言ってきて、その農園が見たいと言い出す。ちょっと遠いし不便なところだよと言ったが、相方は、行き方もスマホで調べていた。明日は仕事明けだが、ならば行ってみようかとなる。花といえば、相方だけでなく、わたしも行ってみたくなる。写真を撮りにゆくのだ。
 相方と地下鉄九段下で待ち合わせた。それから千葉へと向かう。電車の中では久しぶりなので、近況を話すが、乗客の視線を感ずる。車内での会話はお控えくださいと電車でも呼びかけている。話していても周囲からは睨まれる。
 どういうルートで行くのか。千葉駅で降りて、総武本線に乗り換え。成田空港方面に向かう線だ。それで二つ目の都賀駅で降りて、そこからモノレールに乗り換えて終点の千城台まで行くのだ。きっと農園で何もない田舎だろうから、弁当とドリンクは買っていったほうがいいと、都賀駅前のコンビニでいろいろと買って持ってゆくことにした。前にも、埼玉の田舎へ行ったときに、駅周辺に食堂もないしコンビニもなく、ATMもないので金も下ろせず難儀したことがあった。だから、花を見に行く時間も考えて、向こうで昼飯を花見しながら食べようということになる。
 千葉市にはモノレールがある。それは前に動物園に行ったときにも乗った。カラフルにペイントされていて、まるで遊園地のようなモノレールに乗る。終点駅には大きなショッピングセンターがあって、なんだ都会じゃないか。団地がずらりと張り付いて、千葉市のベッドタウンなのだろう。モノレール駅前から今度はコミュニティバスに乗る。それがずらりと並んでいる。やってきたバスはおまごバスというミニバスで何十人も乗れない。大丈夫か。それでもみんな押し込めるようにして乗ったが、寿司詰め状態。しかも、普段は車も通らない田舎道はマイカーで大渋滞。のろのろか全然前に進まない。運転手は驚いて、この路線を何十年も走っているが、こんなことは初めてだ、こんなにお客さんを乗せたこともないと、びっくりしていた。何があったのかと。乗客のお父さんは、「テレビの依田さんの天気予報でこの先の富田さとにわ耕園からの中継があったから、来てみたかった」と、運転手さんに話していた。みんな同じなのだ。相方と笑う。その若いお父さんと息子と話していたが、どこで降りるのと息子が聞いていたが、「みんな一斉に降りるから大丈夫」と話していた。超満員のバスは全員がそこに行くのだ。
 同じ千葉市でも広い。わたしもいろんなところに行ったが、若葉区富田のほうは初めてだ。畑が広がる丘陵地帯だ。店もないし、ドライブインもなさそうだ。車は先方の駐車場が満杯なので、入れないで並んでいる。わたしは後悔しだした。相方には、もう依田さんのテレビを見て来るのはやめよう。殺人的な込み具合で立ったままならまだいいが、押し付けられて、体がぐにゃりと曲がったまま窓に手をかけていた。だけど、考えようだが、その姿勢もヨガと思えば、体をひねったポーズで何十分というのもいい体操にはなるな。
 ようやく、近くまでバスが来たら、みんなぞろぞろと降りて、農園まで歩いて向かう。そのほうが早い。並んでいる車を追い越して、歩く人のほうが早いのだ。
 農園に着いたら、すごい人。密までゆかないが、改めて依田さんの天気予報は人気があると知る。それなら、観光客が来ないで困っている公園で中継したら、潤うかもしれない。
 芝桜のピンクとネモフィラの薄紫とポピーの色とりどりが拡がって気持ちがいい。ベンチもあるから陣取って、先に弁当をいただく。芝生でシートを敷いて家族で弁当をひろけげている人もいた。食堂ぐらいあるだろうと、用意してこなかった家族は、子供が腹が減ったと騒ぐ。少ないトイレにも並ぶ。尿瓶もこれからは持ってこようとわたしが言えば、どこでするのよと相方。どっと人が繰り出すのだが、それほどのキャパのない田舎では渋滞に巻き込まれた地元の人はいい迷惑だろう。


 花を見たら、またミニバスを停留所で待つが、なかなか来ない。渋滞に巻き込まれて30分もかかってようやくやってきた。それに乗れるのかとすでに40人くらいが並んでいた。ぎゅうぎゅう詰めでも乗れた。これは痩せられるぞ。人間の押し寿司だ。
 都賀駅までようやくやってくると、せっかく来たので、駅から歩いてゆける天然温泉のみどりの湯に行く。スーパー銭湯で、前から知ってはいたが、不便なところなので、ついでがあれば入ろうと思っていた。なになに区といっても、郊外も入るから、驚くほど辺鄙なところもある。気をつけないといけないのが、駅から歩いて15分とかいう温泉の触れ込みだ。歩いたら、遠い。何が15分なのだとふーふー。それでもいい運動にはなる。
 温泉は日曜だから混んでいた。何か石油臭いにおいがしている。源泉も黄色い色をした無色透明よりは何か体によさそうな。2時間半でみんな入ったが、眩暈がしていた。湯あたりというよりたまになる。それで日光浴もできる露天風呂の畳の寝床で裸で寝ていた。
 帰りは温泉前のバス停から千葉駅行が出ていたのに乗る。千葉市よりも四街道市のほうが近いところだ。それにしても6時でもまだ明るい。日は長くなってきたな。


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