コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

ショッピングセンターの上ほど廃墟

 いまの2フロアくらいの広いモールなら、お客が買い物で歩く距離は大変だが、テナントとしては客動線にどこも面していて、不利な場所はあまりない。それが、昔の建物でのショッピングセンターは8階建てなど、上に高いのが多かった。土地が高いということもあるが、駅前などの中心部に位置する店舗が多い。それが、現在では、郊外型の車社会のショッピングモールに負けて、どこも苦戦しいるか、閉店したりしている。かろうじてやられている店舗でも、上の階に行くほどゴーストタウンとなっていて、寂しい限りだ。どこも同じような傾向で、上には何があるかと、わたしの場合はエレベーターで最上階に行き、エスカレーターで下まで降りて、見学するように、上から下まで見て歩くのは、若いときショッピングセンター見学をよく二代目経営者たちとしたからだろうか。屋上はどうなっているのかと、それもよく見る。ある千葉のショッピングセンターに先日買い物がてら寄ったら、屋上ガーデンがあるというので、どんなになっているのかと行ってみたら閉鎖していた。閉めているドア越しに覗いたら、荒れ放題の手入れもされていない花壇が見えた。そこまで手が回らない。客も上までは来ない。デパートもそうで、屋上はがらんと誰もいないところが多い。そこにはベンチと自販機だけしかなく、ぽつんと一人おばあさんが座っていたりする。わたしは読書の恰好の場だと、誰にも邪魔されず、静かにコーヒー缶を飲みながら本を読んでいたりする。
 都会の屋根にありながら、何か勿体ない。いつも活用方法がないものかと考えるのだ。千葉の入った店は、一番上の階に歯医者があったが、閉めていた。それとお宝買取センターも暇そうで、誰も入らない。エクササイズのジムもあったが、そこは会員制なので、会員の女性だけが訪れていた。後はみんな空き店舗。ほとんどが無駄なスペースで死んでいる。よく、飲食店フロアを最上階に持ってくるのは展望しながら食事ができると、夜景も料金に入っていたりする。ムードがいい眺めなのだ。それで、上にお客を上らせて、降りてきたら買い物してくれというのがどこのデパートもしていることだ。レストランなどは営業時間が晩い。それで、物販が閉めてからでも夜晩くまで開いていてもエレベーターで対処できるようにしている。
 坪いくらの都心のモールでも上ほど効率が悪く入居者はいない。いつまでも空室で、椅子とテーブルを並べ、あるいはゲームセンターみたいに機械を並べてごまかしているが、子供らも若者たちも、そんな暗いフロアには来ない。わたしにとっては、静かに本を読んでいられる素敵な空間なのだが、店側としては、なんとかしたい課題なのだ。
 都心のデパートでは、屋上にガーデンを作り、野菜や果実を栽培したり、養蜂ではちみつをとったりと、意外な使い方で話題を提供しているところもあった。屋上を緑化することで、都市のヒートアイランドの解消にいくらかはなっている。それと、かつては遊園地やバーベキューコーナーやビアガーデンもあったが、そのどれも衰退して、集客力が落ちると、廃墟のように無価値なスペースとして放置された。
 どうせ、放置するなら、みんなにアイデア持ち寄って、無料で貸すこともできないものか。人がそれによって集まれば目的達成だ。いまは、空きビルを使って、レンタルスペースで時間貸をしたり、トランクルームとして倉庫にしたりと、いろんな再利用の方法を模索して伸びている企業もある。
 これは日本だけでなく、海外に行っても、上に高い昔のビルほど上は持て余して閉鎖したりしていた。新しいショッピングタウンでも、1階と2階より使っていないで、上は閉鎖中と、エスカレーターも止めてパーテーションで封鎖。もったいない。なんとか利用できないものかと、客ではなく、経営者の立場で考える。相方は、そんなわたしの言うのを聞いて、商売人だから、そんな目で見るのねと、よく言った。もう、自営業ではなく、商売から離れて何年も経つのに、いまだにそういう視点で見ている自分がいる。すぐに計算したがる。人を何人使って、人件費はいくら、その割合から売上高を割り出す。客席回転数はと、どうでもいいことをつい考えて、経営コンサルタントでもあるまいし、人の店のことでも、あれこれとアイデアを出してみたりする。変な癖がついていた。


 いま、デパートがどんどんと地方から閉めている。従来のデパートの形態はもう飽きられた。どこでも同じフロアの構成で、どこに行っても同じなのだ。それで、今度は苦し紛れに、大型電気店と手を結んで、複合店にしている店もある。合わないだろうと違和感を覚える。どちらもダメになるのは目に見えている。星いくつのレストランの中にラーメンコーナーを設けるようなものだ。そうかと思えば、テナントばかりにして、それも全国チェーンばかりで、魅力に欠ける。そこで買わなくてもあちこちにある。雑居ビル化してくる。中はGUにユニクロ、無印、100円ショップに赤ちゃん本舗などみな同じ。飲食店もファーストフードにファミレス、意外性と個性がまるでない。
 街ぶらで都心から私鉄沿線で降りてみた街の駅前には、無残な元デパートやショッピングモールであった廃墟が建っている。周辺の商店街はシャッター通り。人も歩いていない。駅前神話は終わった。そのくせ、そこに住む住人たちは車で郊外の巨大なモールに買い物に行く。都市の顔は幽霊になり、雨ざらし。
 中心地の再開発は青森市でも始められた。なんとかしなければ、買い物難民たちが餓死をする。わたしらは街中で暮らして、車もなかったから、そういう不便な難民経験をして、年寄りたちは大変だなと、昔から住んでいる原住民のことを思うのだ。
 


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