コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

春休みの学園は

 3月下旬に大学の卒業式があった。キャンパスの桜はちょうど満開で、袴姿の女子たちが写真を撮っていた。ところで、男子はどこにいるのだ? 女子ばかりが華やかで、男子はどういう服装で来ているのか。動物の世界では雄のほうが目立つのに、人間界は逆だな。それにしても、あの袴は一生に一度か二度よりつけないものだろうが、レンタルなのか、それとも記念に買っておくとか、よく解らない。
 春休みでも事務職員と先生たちは来ている。われわれも休みはいつもの通りで、仕事は逆に増えて忙しい。春休みなどは業者が多く来る。工事や造園、補修などもいまのうちなのだ。出たり入ったりの対応で鍵の貸し出しもあり、日常の仕事もできないほどだ。
 花壇はいろんな花が咲き誇る。春が一番綺麗だ。それに毎日水撒きをする。春休みで増える仕事にこの水撒きがある。先生たちに頼まれて、屋上の花壇に植えている菜の花も理科の実験に使うようで、お願いされている。ウッドデッキにもずらりと、児童の名前がついたパンジーなどのプランターがあるが、それにも水をやるが、すごい数だ。如雨露では間に合わないからホースで撒く。
 先生たちの移動もある。担任も変わるから、教師ステーションから台車で別の学年のステーションへと引っ越しだ。そのときにいらないものはどんどんと捨てるので、地下のゴミ置き場には、本や楽器、机に椅子などどっさりと燃えるゴミ不燃ゴミなど出るのだが、大学なんか、見ていたら、清掃の人たちが運んでいる本の束が、それも捨てるのかと、元古本屋だから、唾が出るような勿体ない本ばかりが紐で縛られて廃棄されている。一冊で何千円もするような専門書も捨てられる。
 前に青森にいたときも、年度代わりに、県庁や大学に呼ばれて、廃棄本からいい本を持ってきたことがあったが、役所は金は受け取れないので、栄養ドリンクを買って差し入れたこともあった。いい本があったが、残念なのが、押印してあることだ。大学の名前で小口まで判を押している。それは印ありで売ったり、紙ヤスリで削り取ったりして売った。手間がかかるのだ。
 廃棄するのかどうか、プール脇の廃材のところにFRP製のカヌーが長く何年も置かれている。わたしが辞める前に、体育の先生に聞いて、いらないのならもらおうかと思う。買えば何万円もするだろう。
 椅子も社長が座るようなレザー張だが、ひじ掛けもあり、どっしりとしたものが、廊下に出されていて。御入用の方に差し上げますと紙が貼ってあった。みんな欲しいが、運ぶのが大変だ。レンタカーを借りてこないと。
 4月に入ったら、学校を辞める話を上にしないといけない。人手不足らしいので、嫌な顔はされるだろう。一年七か月勤めたことになる。面白かったが飽きた。今度は固定した仕事ではなく、シルバー人材センターに登録して、小遣い稼ぎ程度に、月に何日かしてみようか。
 新年度からは、学生たちが通学するようだ。いままで一年間、リモートで自宅待機させられ、学食も閉鎖していたし、購買部も暇だった。今度は学内のコンビニも生き返るか。また賑やかなキャンパスになるのだろう。だけど、コロナで第4波も来ているので、今後またどうなるか知れない。それにしてもこの一年は長かった。元通りにはなるのだろうか。学園も人間だけがいなくて、花が咲いている不思議な去年の春にならないといいのだが。


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