コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

気の早い一輪だけの花見かな

 どうも、昔はそうでなかったのに、年とともに花見が好きになる。花の時期になると、それ梅だ、桜だ、薔薇だと、そういう公園に出かけるようになる。前は花なんかどうでもよかったのに。
 前に暮らしていた千鳥ヶ淵の近くにいたときは、歩いてすぐが桜の名所の千鳥ヶ淵なので、散歩がてら見に行った。また、近くに靖国神社があったので、東京都の開花宣言の指標になる桜が鳥居を潜ってすぐ右側にある桜の木だったが、それをテレビで中継するのも見に行った。みんないまかいまかと、野次馬ではないが、たまたま通りかかった人たちもそれを待っているような。テレビ局は各局が来ていて、参拝客もカメラやスマホを向けている。
 皇居のお通りも何回か行ったし、東御苑は桜も梅もたいしたことはないが、それでも花見にはよく行った。北の丸公園もすぐなので、花はまとまってはいないが、いくらか咲いているのを見に散歩した。
 都心でもいいところはいろいろとある。わたしの好きな桜の並木は、市ヶ谷駅からお濠の土手が公園になっていて、そこの桜は見事だ。すぐ下を中央線と総武線が走っている。お濠端の桜も木は立派で、飯田橋から眺めると壮観だ。
 先日は、東京の開花宣言が出されたので、それではと、仕事帰りに錦糸町まで地下鉄で行って、いつものようにそこで買い物がてら寄るのだが、確か、いい公園があったはずだと、思い出して、歩いてゆける猿江恩賜公園まで行ってみた。前に寒いときに一度二人で行ったことがあるが、あのときは何年か前の1月で梅もまだ咲いていなかった。
 公園に行く途中に、小さな公園があり、そこに本所七不思議のひとつ「置行堀」という怪談があるというところに像が建っている。わたしも聴いたことはあるが、ここは錦糸町で本所からは離れていまいか。昔、釣り人がお堀で釣った魚を「置いていけ」という声で逃げ帰ったら、ビクの中は空であったという怖い話だが、そういう河童みたいなお化けの像がある。何か似た話が各地にあるらしい。
 猿江恩賜公園も広い。花があるかどうか、視界に色を見つけたらいい。するとまだピンクや赤は見えない。白い花が木に満開なのは、こぶしとある。それぐらいか。がっかりした。桜は全然。それでもたった一輪がぽかぽか陽気に騙されて咲いていたのを、老人が眺めていた。わたしもそれを見て、まだまだですねと言うと、うん、一輪じゃしょうがないなと笑う。
 見たら、カメラを手に、花を探して、わたしのように訪れている老人たちが目立つ。やはり、デジカメが普及してから、カメラの趣味の年寄りたちが増えた。花ばかり撮りに歩いているのは、わたしもだった。
 千葉にも花の名所はあるのだが、できれば遠くなく、近くで済ませたい。それでいいところが、京葉線の新習志野駅に近いさくら広場という公園だが、去年はコロナで閉園していた。今年はどうなのか。先日行った青葉の森公園も本千葉から歩いて行けるが、桜の広場はかなりの本数があるから見ごたえはあるだろう。
 外房線の土気駅から歩いてゆける昭和の森も広くていい。都心の公園とは規模が違うし、上野公園にしても、桜の名所とはとても呼べないくらい、比較にならない。それは仕方がないのは、土地の値段を考えたら、山と比べてもどうかというものだ。
 今年はどうも首都圏の緊急事態宣言解除がなされるか疑問だが、それでも花を見に行ってみたいとは思う。街中と違い、花見でも郊外はがらがらだ。人と人の距離がありすぎるくらいだ。座って宴会は禁止なら、立ち飲みか歩きながら飲んで喰ってと、それしかないな。


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