コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

湘南の不動産屋にて

 平塚で降りたのは初めて。いつも通り過ぎるだけだった。隣の大磯には一昨年の夏、二人でホテルに泊まり、ロングビーチで泳いだ。大磯海水浴場でも泳いだが、その延長の浜辺が平塚の海水浴場で、湘南のど真ん中という感じか。
 静岡の旅行の帰りにふらりと寄った平塚市。駅前からして賑やかで都会的。人口が26万というから、ふるさとの青森市よりやや小さいというところ。それでも快速で東京駅まで1時間で行くし、横浜も近い。下りに乗れば、小田原と熱海にもすぐ行ける。伊豆が近いのは潜りに行くにはダイビングスポットがあっていい。上りは、隣の市が茅ケ崎で、辻堂、藤沢、江の島、鎌倉、逗子、葉山と、湘南海岸の観光地が並ぶ。そんなところで暮らしてみたいと、若いときから思っていたのがようやく老後に実現することになる。
 まずは、腹ごしらえだと、飲食店を探した。いろいろと目移りする。あまり海鮮丼など食べたくはないが、海辺の街だからと、入ったら、500円からある。安い。まぐろ丼をいただく。刺身好きにはたまらないだろうが、刺身の嫌いなわたしは無理して食べている。
 駅前には不動産屋がいっぱいある。店頭に貼りだされている物件で、そこの店のカラーが判る。安い物件を貼りだしている、全国に店があるところに入った。どこでもいいのは、物件の情報はたぶん共有しているだろうから。
 入ると、まずは、こちらでネットで調べてきた賃貸マンションの第一候補から見せる。すると、10階建の5階のワンルームの家賃が2万円のところは決まり、同じ建物のワンルームで家賃が2万5千円のところは空いているが、不動産屋はしぶい顔をしていた。何か勧められないような言い方。どうしてか、ずっと何か月か空いていたので、訳ありとは思った。そうしたら案の定、大家と管理会社がもめていて、トラブルになっているという。風変わりな人らしく、入居した後に何かあっても、不動産屋としては責任はとれないと、そこまで言うのでやめにした。
 ネットの不動産情報がおかしい。駅から徒歩96分というのもある。平気でそんなことを書くのが笑える。往復3時間も歩いて誰が駅に行くのか。
 第二希望は、7階建のマンションの4階のワンルームで、そこは少し家賃が上がり、それでも29000円と安い。千葉より安いのは感激だ。青森よりも安いかもしれない。敷金と礼金はゼロというゼロゼロ物件がいまは多い。さらに、そこはひと月分の家賃はサービスし、インターネットは無料で使い放題というから嬉しい。それだけで月額3千円の値打ちはある。そこを内見することにした。駅から歩いて17分というが、わたしの足では13分だろう。いまの千葉の住まいと似たような距離だ。歩いてゆこうと思ったが、車で案内するという。わたしも足が痛いのでそうする。
 駅から北の方角に真っ直ぐ走ったら、国道1号線を越えたところにあるマンションだ。バス通りの広い道に面している。向かいに大きなセブンがある。バス停も近い。外観は悪くはないが、入ったら、ええ? こんなところところという幻滅が先に立つ。オートロックの玄関はセキュリティはちゃんとしている。防犯カメラもついているが管理人がいない。それより築32年というが、古いのは安いから仕方がないとしても、廊下と玄関と階段のゴミはどうにかならんのか。3000円の共益費をとっているのだから、掃除くらいしろよと言いたい。エレベーターも古い。おかしな造りで、エレベーターから降りたら、階段を少し上がってその階になる。中二階にエレベーターがあり、階段を上って三階に行く。どうして段差があるのか。
 部屋はまあまあ。4階の角部屋というより突き当りの部屋で、ワンルームだが、変形サイズで台形になってる。何かビルの構造がおかしい。玄関から出た通路はあちこちにひびが入っている。大丈夫か? 地震がきたら、割れて落ちたりしないだろうな。部屋は5畳ぐらいよりなさそう。狭い。ベランダからは見晴らしはいい。バストイレが一緒で、室内に洗濯機置き場がある。台所は狭いがこんなものだ。IHヒーターがついている。エアコンは当然。収納は広い。玄関にはシューズ用、室内にはクローゼット。それはいいのだが、汚いのはどうにもならない。こんなところに一年でも住みたくはない。
 その向かい側に、大きなマンションが建っていて、そこはわたしらが千駄木で借りていた同じ名前のマンションで、全国にあるものだ。そっちのほうがネットで調べたら、築28年とまだ新しく、部屋はワンルームだが、ひと回り大きい。7階建の5階で1Kというから、画像で見たらまだ綺麗だ。不動産屋に、そっちにしてもらう。内見ができないのは、いま、まだ入っていて、今月末に出るというのだ。入居は4月に入るが、こっちは急がないのでと、申し込みをして審査に入る。いまは、紙に書くのではなく、スマホでやるのだ。店に戻って、それをやってみる。保証協会を使うというので、息子たちの連帯保証人はいらない。審査もどうやらスムーズに五日後には通るような。老人には貸さないと断られるかと思ったら、いまは地方都市ほど空室があり困っている。そんなことを言っていられないのだ。審査に使う保険証と免許証もスマホで写真を撮ってそのまま申し込みに貼りつける。コピーもいらないのだ。便利になった。不動産の窓口は、いまはみんなそうですよと、時代は進んでいるのだ。申し込んだワンルームマンションも家賃は29000円と同じで、ゼロゼロ物件で初期費用があまりかからない。学生さん用なのだろう。それでも駅まで歩いてゆけるし、グーグルマップで調べたら、歩いて行ける範囲に市役所と美術館、図書館があり、運動公園にららぽーとの大きなショッビングセンターがある。
 いま、住みたい街のランキングではベストテンに隣の茅ケ崎が入っている。コロナ移住が、神奈川県も多く、横浜西区がベストテンの第一位で、本厚木も移住先ではトップに出た。平塚はその近隣だ。小田原まで引っ越し先を検討している人が多いというのは、わたしのようなマチイナカを求めている人が多いということなのだ。まずは審査が降りてからだが、そこが決まれば三年は動かないで、そこを拠点に旅行したい。


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