コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

旅ゆけば駿河の国 2

 沼津駅に着いたら夕暮れ。その駅前から今夜泊まるスーパー銭湯の無料シャトルバスが出る。時間までまだ1時間はあるので、今度こそちゃんとした晩飯をと、駅前周辺を探したが、飲食店がない。居酒屋よりない。マックはあるが、まさか晩飯にハンバーガーもない。仕方なく、居酒屋に入る。飯がないので、生ビールにいろいろとあてを頼んだ。用紙に名前と電話番号を書かせられる。地方のほうがコロナ対策では厳重だ。なんだか腹が減る。まともなご飯が食いたい。
 シャトルバスで温泉も遠い。マイカーでなければ行けないところ。わたしの他に一人だけ客を乗せてバスは万葉の湯へ。広い大きな建物で、入口でLINEの登録を言われたが、見たらわたしはここの小田原の風呂に正月に泊まったときに入れていた。なんだお友達申請しているじゃないですかと、フロントの女性は嬉しがる。
 まずは風呂だ。左足の痛みをとりたい。歩けなくなっている。昨日からだった。いままでそういうことがない。神経痛でも筋肉痛でもないような。歩きすぎて痛いような。
 スーパー銭湯といっても、温泉旅館のようにそんなに広くもないし種類も多くはない。客も少ない。2時間くらいサウナ二つと露天風呂と2回転する。
 休憩ルームのリクライニングシートでテレビを見ていたが、寝不足で見るのが辛い。10時過ぎには寝ていた。


 翌日、朝湯に入り、8時のシャトルバスで沼津駅まで。どこかで朝飯と思ったが、三島駅まで行ってしまえと、先へ先へと歩を進める。三島は隣の駅だが、三島市だ。そこから御殿場までの電車が出ている。伊豆箱根鉄道がある。今日のコースは伊豆の国市だった。それは新しい地名で、どことどこが合併したのか。まずは朝飯と、駅前は北口に出たら、何もない。ええ? ここもか。それで南口はどうだと、戻ろうとしたが向こう側に行けない。駅員に聞いたら、遠回りしてガードを潜らないといけない。足が痛いのに、また歩くのか。南口には広い公園があった楽寿園と書いていた。市立公園だが、鳥や獣の鳴き声がするから動物園もあるらしい。まだ早いので開園していないのでパス。ようやく駅前にあったタリーズでモーニングをいただく。そこでブログや旅の記録の日記も書いていた。
 私鉄で伊豆長岡まで行く。その線は、パスモが使えない。切符を買うのも久しぶりだ。若いときに修善寺まで終電で行ったときは、この駅からだった。三島駅も新幹線があったろうが、全然記憶にない。
 伊豆長岡が伊豆の国市の中心なのだと後で知る。そこの観光地で伊豆の国パノラマパークに行ってみようと、前に反対側の大室山のパノラマがよかったから、そこから富士山が見えるか。昨日は雨、今日は曇りで晴れ間があるが、どうなのか。思案しているときは観光案内所に駆け込む。そこのおばさん二人が親切で、市内循環の乗り放題のバスチケットが駅で買えると教えてくれた。ロープウエーで上に行って、そこから修善寺温泉まで歩きたいと、足が痛いくせに、ハイキングのことを考えていた。おばさんは、ハイキングというより登山ですよと、かなりきついルートならあると教えたので、やめにした。スマホで事前にロープウエーの往復券を購入すれば2割引になることも教えてくれた。他にいろんな割引券もくれた。
 バスでぐるぐると市内を循環する。そうしたら、伊豆長岡が温泉町であると知る。しかもかなり歴史は古い。ホテルや旅館がびっしりと建っているが年季があるような古さ。迫力ある建物は廃業していた。
 市役所のすぐにロープウエーの駅がある。一人で乗ったが、四人くらいは乗れる。山の上まで急こう配の斜面を上ってゆく。標高は500mもないが、展望は素晴らしい。駿河湾が見下ろせ、島もある。富士山は白い雪をいだいた山頂だけを雲の上に見せていた。青空も出ている。よかった。日ごろの心がけがいいとはよく言うが、大室山のときも、初日の伊東温泉が雨で、三日目に晴れた。
 コンビニで買ったサンドイッチと山葵おにぎりなどを昼飯とし、上のテラスでいただく。イタリアンレストランがあって勧められたが、こんなとこに来てイタリアンもない。まだ地元のスーパーで買った地元特産の弁当のほうがいい。
 山頂をぐるりと回る。またどこにでもある恋人たちの聖地で、鐘がある。バカのひとつとは言わない。呆れて怒りすら覚える。その陳腐な発想をなんとかしろよ。わたしなら、別れの聖地にして、恋人と最後の思い出に、鐘ではなく木魚を叩かせる。ご愁傷様です。若いカップルばかりで後ろにも前にもだ。じじいが一人いるのが邪魔で仕方がない。なんで、あんな場違いな人がこんなところにいるの? すみません。
 這う這うの体で帰ってくる。また循環バスで今度は道の駅伊豆のへそに行く。そこも勧められた。ただの道の駅ではない。昔は植物園であったのだろう。そこを世界のサイクラーの聖地にしようと、メリダの自転車200台を展示し、レンタルもしている。自転車好きにはたまらないところだ。それと、イチゴの季節だからではなく、年中いまは温室がいっぱいあってイチゴ刈り。いちご尽くしの土産からスイーツばかり。
 道の駅で、みかんが安い。さすが本場だ。今夜の宿は晩飯がつかないので、ちらし寿司や職場のみんなの土産にお茶を買う。珍しいものでは、お茶のコーラを飲んでみる。地ビールも買って宿で飲もう。
 また循環バスに乗る。客はわたし一人だった。運転手も同じ。きっと、一時間でぐるぐると回り、そのたびにわたしだけ拾って走る。次に向かったのは韮山反射炉だ。それは前から知っていたが、たまたま近くに来たから寄ってみよう。産業遺産になっている。行ってみたら、レンガの煙突は修復中で足場で見えない。ガイダンスセンターでビデオを見たり資料を眺めたりしていた。幕末の海防のための大砲を造ったところ。
 その裏山が茶畑になっている。そこから展望できた。それと途中の建物では、つり雛を見せていた。おばさんたちがお喋りしていたが、暇そうだ。吊る雛人形はあちこちにある。昔、ギャラリーをやったときの店長が人形作家で、彼女がそれを作っていたのを思い出した。
 売店で、またみかんが安いので買う。それと元祖パンという江戸時代後期に日本人が作った初めてのパンを地元の高校生たちが復元したというもの。面白そうだから買ったら、売り場のおばあちゃんがその歴史を説明してくれた。若い人たちが復活させようと文献を元に取り組んでいるのはいいことだ。乾パンのように硬いから、歯に気をつけてねと言われた。
 夕方になり、最終のバスに乗って伊豆長岡駅へと戻ってくる。一日、わたしの専用のバスのようで申し訳ない。そこから、今日の宿のある修善寺駅へと向かう。いい時間だ。


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