コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

湘南オールドボーイになる

 学生時代に、鎌倉には毎週のように通った。横浜国立大学の雪の下寮に住む幼馴染を訪ねて通ったのだが、片思いで、ストーカーのように、窓の下に立っているだけでも安心していられた、自分でも気持ちの悪いやつだったと、いまなら思う。
 それで愛は屋鳥に及ぶというやつで、彼女の住んでいる鎌倉も愛するようになる。鎌倉の寺をすべて訪ねてみようと、隅々まで歩いた。19歳のときであった。鎌倉の海にもよく行った。逗子から由比ガ浜、七里長浜と江の島までの長い砂浜を何度も歩いた。そのときから、湘南にそのうち住んでみたいと思うようになる。
 若いときからマリンスポーツが好きで、大学ではヨット部に入部希望を出したら、学業は投げ出して、ずっと大学の合宿所のある逗子に泊りがけだから、それでもいいのかと言われて辞退した。当時からヨット部は優勝していて、うちの大学は名門と言われていた。そのために留年するのも嫌だった。
 それで、ヨットは諦めて、スキンダイビングをすることになる。三浦半島はほとんど回る。房総半島も伊豆も行った。油壷でも潜る。海が好きなので、そのうちウエットスーツも作り、本格的に潜りもするようになる。水中カメラも買った。ヨットは簡単なものを社会に出てから買ったし、シーカヤックも買って、後に海の傍に家を建てて、浅虫海岸で漕いでいた。
 いまだにそうだから、きっと海とは縁が切れない何かあるのだ。生まれも育ちも青森という海辺の町であつたことから、精神的なよりどころになっていたのかもしれない。


 千葉にいま住んで、別に不満はないのだが、70歳になるので、いよいよ老後に入ろうと、隠居することになる。そのためには、年金生活だけでは家賃は安いほうがいい。いまの家賃でも安いのだが、三階で階段だから、上り下りが大変になるだろう。できれば一階かエレベーターがあればいい。仕事もそろそろどこも採用しなくなる。アパートを借りるにしても、70歳というとどこも断るだろう。この千葉に来る去年も、4軒をあたったが、3軒に年齢で断られた。いまの大家さんが老人の一人暮らしでもいいと入居できたのだ。いままでは相方と同居だから、どこでも住めたが、これからは一人暮らしは難しくなる。いまのうちなのだ。60代後半で元気に働いている人というのがいい。仕事も辞めて、年金だけなら貸さないだろう。そういう人は老人ホームに入らないといけないが、グループホームは安いところもあるが、わたしはそういうところには住みたくない。自分ではまだ老人とは思っていない。
 先日は、通勤電車で、わたしと隣の初老の男性が立っていたが、座っていた若い女性が席を立って、その男性に席を譲ったのだ。男性は恐縮していたが、どう見ても、わたしと同じくらいか、年下に見えた。髪が真っ白だったからか。わたしは顔は若く見えるし、先日、相方が髪を染めてくれたので真っ黒だ。わたしを老人とはその女性は見ていなかったことは嬉しいが、複雑な気持ちだった。
 コロナで65歳以上の高齢者にワクチンは早く投与してくれると言っていたのも複雑な気持ちで、わたしのような元気な年寄りよりは、弱い病気がちな若い人たちに先にしてもらたいと思う。
 なのだが、世間ではそんな目では見ない。年齢を意識するのが、賃貸を借りるときだ。都心に息子二人がいるから、いつでも何かあると駆け付けるとはいっても、普段から誰かいないと、貸すほうは心配で、孤独死をしまいかとそう思うのだ。いまの千葉のマンションを借りるときも、年額はたいした金額ではないが、24時間見守りのセキュリティに加入させられた。老人所帯にはそういう外部の何かあったら駆け付ける保険みたいなものもあるのだ。


 湘南で暮らしたいと思うのは若いときからいまも変わらない。それで、熱海と真鶴、小田原、大磯、藤沢、鎌倉、葉山と旅行したし、泳ぎに行ったりし、いろんなホテルに泊まり歩いた。今回はその真ん中の平塚を探した。家賃は千葉より安い。2万円からある。ワンルームだが、3900円のところも出てきた。それは事故物件だろう。そこで住んだら、サーフィンは無理だが、ウインドサーフィンならしてみたい。湘南ボーイに憧れていたが、湘南オールドボーイでもいいか。うまく借りられたらいい。


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