コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

また飛行機が飛ばない

 緊急事態宣言が解除される3月8日から3日間の有給休暇をとっていた。格安航空のLCCで成田空港から大分までの往復が1万円もしないので、とっていた。それで、二泊三日の温泉旅行へ行こうと、別にGo Toトラベルが再開するかということでもなく、別府と湯布院には前から行ってみたいと、ホテルもそれぞれ予約していた。楽しみにしていたのに、突然、飛行機は飛ばなくなったと、向こうひと月以上の全便を欠航するとメールが来た。それはひどい。予定を組んでいても、これではあてにならない。LCCは赤字で大変だった。大手の日本航空にANAも大変な時代になる。ここしばらくは、コロナが終息するまで、飛行機は使えないなと、これからの旅は陸で行くことにした。わたしが前によく使ったエアアジアジャパンも破産した。安いからよく使ったが、どこもここも行き詰まってきていた。
 別府と湯布院は若いとき、学生時代に九州一周したときに一度だけ滞在したが、泊まりは金のない学生だから、野宿ばかりであった。九州一周で宮崎のユースホステルには一泊したが、一週間で、ちゃんと泊まったのはその一泊だけで、鹿児島でも大分でも長崎でも駅前のベンチや公園で寝ていた。夏だから、平気だった。困ったのは、ホモのお兄さんが言い寄ってきて逃げたときだけだ。二十歳のときだが、持ち金も少なく、鹿児島では水中カメラを天文館通りの質屋に入れて、帰りの旅行費用を捻出したほど、ぎりぎりの金よりなく、無謀な旅行ばかりしていた。
 若いときは、温泉には興味がなかったのか、別府や湯布院に行っても、温泉場で寝られるところだけ確保しようと、温泉に入る金もなかった。せっかく、そういうところに行ったのに、風呂にも入らなかったとは。指宿温泉でも砂風呂の様子を見ただけで、はやり入る金もなく、見学で終わる。列車だけは、東京からの九州全域の周遊券を持っていたので、寝るところがなかったら、夜行列車で寝て行った。
 70歳になろうしている50年後の自分も、あのときの青年と似たようなもので、野宿もきっと平気でするだろう。ただ、いまは野宿をしたらホームレスと間違われる。
 飛行機はクレジット払いであったが、全額返金してもらい、ホテルはまだ日にちがあったから、キャンセル料もかからず、とりやめた。理由を教えてくださいというメールにコロナで飛行機が出ないのでと返信した。JALは飛ぶが、その何倍もかかるので、別に無理してゆかなくてもと、近場で済ますことにした。
 急遽、目的地を変えた。行ったことのないところとグーグルの地図を眺めていたら、静岡市は行ったことがない。静岡県は伊豆はほとんど回ったし、若い時に岡崎で暮らしていたので、浜名湖までドライブで来たこともある。だけど、新幹線でも東名高速でも、静岡市周辺は通過するだけで降りたことがない。それで、テレビの世界遺産で砂漠特集をしているのを見ていて、急に砂丘が見たくなる。そうだ、砂丘を歩いてみよう。と、調べたら、御前崎の近くに広い砂丘がある。日本平も東照宮も三保の松原も行ったことがないから、行ってみよう。新宿バスタから高速バスを予約した。2千円だった。静岡駅まで3時間ぐらいでゆく。帰りは電車だ。一泊目は郊外にある天然温泉のスーパー銭湯が泊まりで1500円というのを見つけた。正月に小田原で泊まった万葉の湯だった。そこの支店か。そこは設備が広くてよかった。二泊目はこれも通り過ぎただけで泊まったことのない修善寺温泉の和風旅館を一泊予約した。そこからの帰りに平塚に寄ってゆこう。気になる賃貸物件があった。家賃2万円の10階建のマンションだが、内見してみよう。よかったら、そこを契約したい。5月から引っ越す先が湘南だった。小田原もいいが、近くの平塚でもいい。そういう二泊の近場の旅行をさっさと決めた。温泉と不動産屋に当たる旅で、これで目的ができた。
 このところ、春から仕事を辞めて、千葉からコロナ移住ではないが、引っ越し先を湘南と決めて探していた。いくつかお気に入りに入れた。まだ一週間あるので、決まるかもしれないが、9つの候補のうちひとつでもあればいい。小田原から、真鶴、二宮、大磯、平塚、茅ケ崎と、その海辺を探していた。家賃は安い。千葉のいまいるところの半額だ。それなら年金だけで働かなくても暮らせる。いよいよ、本当の老後の住まいを探すための旅に出る。これも飛行機が飛ばなくなったおかげだろうか。それとコロナのおかげかもしれない。

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