コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

先祖代々の墓が荒れているって

 おふくろに電話をしたら、三男が三内の墓が荒れているから直さないといけないと、写真を撮ってきて見せるようなことを言ったとか。わたしもしばらくは墓参りには行っていない。三内霊園は青森市の郊外で、三内丸山遺跡のあるほうだ。そこは青森市で管理しているが、わが家では2区画持っている。その名義はわたしになっていて、ちゃんと管理料を払っているのかと心配して電話をしてきた。市役所にこちらの住所は伝えてあるから、千葉に今年は管理料の振り込み用紙が送られてきた。いくらでもないが、それを五年滞納すれば、墓に期限の札が貼られ、期限が過ぎたら、もう無縁仏と撤去され、別の求めている人たちに移るのだ。それをおふくろと妹が心配していた。わたしが郷里にいないのと、ふらふらとあちこちに行くから当主として大丈夫かと信用がならない。それを代行するのが息子なのだが、彼も古本屋で一緒に暮らしていたときは、仏壇も拝まないし、水と花とご飯も上げなかったし、掃除もしていなかったではないか。わたしが毎日綺麗にしていた。彼岸団子は自分で作ってあげた。墓参りもだから、三年くらい行っていないのだ。最後の生きている叔父がいままでは霊園の近くに暮らしているので、草むしりなどお願いしていた。叔父の次男が入っているし、叔父も自分たちも入るというので、別に分家だからと新しい墓を買わなくてもいい。それをいままで通りしてゆけば、墓地が足りなくなる。これからは一族郎党みんなが入る墓にしたらいいのだ。本家の墓は長男だけ入るのではなく、親戚ご一同様がまとめて入ればいらぬ金も使わないし、拝むのも一度で足りる。浄土真宗が、わが家の宗派だが、よく墓石には、倶会一処(くえいっしょ)と書かれている。墓はどこでもいい。みんな行くところがひとつだから、分散して埋葬することもないのだ。
 いまは、集合住宅のように、共同墓地があちこちの寺にある。個別の墓石はないが、納骨はまとめてする。それにお参りする場所も広い。お盆などはかちあって、並んで整理券発行まではゆかないが、混むだろうが、普段はそうでもない。そういう他人と一緒に入る墓なら、賑やかで楽しいかもしれない。みんな身内ばかりよりは、老若男女みんな仲良く入れば、ひょっとしてあの世ですてきな出会いもあるかもしれない。
 なのだが、わが家の墓石が少し壊れているのはみっともないので、とりあえず修理はしないとと、息子三人が金を出し合って直すようだ。いいことだ。次にそこに入るのはおふくろだろうし、叔父夫婦だろう。わたしは墓には入らない。できれば、骨はだしをとってスープにしてもらいたい。コラーゲンで美容にいい。
 わが家の墓は三つある。それが2区画に並ぶ。ひとつは近江家の江戸時代の下の石だけだが、家紋が入り、八戸の菩提寺で風化しているのが見つかり、青森まで運ばせた。水子地蔵もある。水子はわたしの兄弟もそうだが、わたしにも二人いる。最初と二番目の女房との間に。親父なんか何人堕させたか。それと昭和28年に建てた墓石は、それまで死者が出なかったが、沖縄で戦死した三男の叔父が遺骨も何もないが、戦死報告だけ昭和27年に来たので、お墓を青森の霊園にしたのが戦後のことだ。わたしの生まれたあたりに御影石で作ったので、もう70年近く経ち、あちこちガタは来ている。それをすっかりと上だけ新品にするかどうか。それとも壊れた個所だけの修復か、それは息子たちに任せよう。墓はわたしの親父が買った。わたしを飛び越えて息子たちが次の墓の費用を出すというので、隔世で家も墓も耐用年数があるから、建て直さないといけないようだ。風化もするし、あちこち痛むのは、風雪にも耐え、地震にも耐えて建っているからだ。石とはいえ、よく古い墓地を見たら、墓石がかなり倒れたままになっている。無縁仏だけにはさせたくない。いまのところ、叔父一家が入るので、そこには男の子が孫として三人いるし、わが家にも女の子五人の孫に去年は男の子が一人生まれた。それが三男のところで、彼も将来は青森に骨を埋める覚悟で、家を見てゆこうと決めたのか。兄二人は東京で働き、青森に帰ってくるのかどうか判らない。そんな身内のことを思いながら、おまえはどうなんだと、わたしが一番親戚から指をさされそうだ。すみません。頼りない家長で。


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