コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

稲毛海岸は都心に近いリゾート

 夏の間、千葉の稲毛の浜では、二度ほど海に入っただけで、遊泳禁止とパトロールもしていて、あまり泳いでいなかった。ただ、腰までつかっただけだった。後は、何回か来ているが、ウッドデッキのテラスにねそべり、日焼けをしていた。青森にいたときも同じで、浅虫で暮らしたときも、サンセットビーチで、市内にいたときは合浦公園の砂浜にシートを敷いて、本を読みながら日焼けした。どこに引っ越してもやっていることは変わらない。おかげで、今年も何回かあちこちで泳いだが、真っ黒に近くなる。ウエルダンまではゆかないが、ミディアムぐらい。黒いと締まって見える。白豚がぶくぶくよりは、黒豚のほうが精悍には見えるだろう。
 わたしがいつも自転車で行く稲毛海岸は、日本で初めての人工の砂浜なのだ。松も植えて、白砂青松の日本の海岸美を復元した。わたしが越してきたのは今年の2月であったが、5年くらい前に相方と来たときは、砂浜は白くはなかった。久しぶりに来て見たら、真っ白でさらさらの砂が気持ちいい。千葉県のテレビで毎日やっている空中散歩という繰り返しの映像だが、飛行機で千葉県を映した番組があるが、それで稲毛海岸を紹介したときに初めて知った。昨年に、オーストラリアの砂漠から白い砂を輸入して、敷いたというのだ。道理で不自然だと思った。こんな白い砂浜は日本ではあまり見たことがない。
 いまから6年くらい前だったか、オーストラリアのメルボルンに旅行したとき、日帰りの現地ツアーに参加したことがある。それはブッシュウォークという歩かせるツアーで、ガイドもつくが、日本人はわたし一人で、みんな世界から来た若者が多かった。英語の説明で、ちんぷんかんぷん。その一行が白い砂漠に連れて行かれたのだ。わたしはどこに連れてゆくのか分からなかった。山道を登り切ったところに出たら、前を歩く人たちから歓声が上がった。何があるのかと、わたしも続いたら、そこは山の上に広がるどこまでも白い砂漠だった。いままで旅行して、その不思議な光景は忘れられない。
 白い砂に体を埋めると、なんとも奇妙な体験ができる。自分の体が白の世界に吸い込まれ、同化してゆくような感覚だ。さらさらとしているのが気持ちいい。
 日経新聞によると、再来年に完成する予定で海に延びるウドデッキができるそうだ。デッキの上にはカフェなども設けるとイメージ写真が出ていた。長さ90m幅10mとあり、ライブもできるのだとか。さらにリゾート感は増すだろう。その吹き抜けのある屋根付きの空間はわたしの日焼け読書にももってこいだ。さらに新聞によれば、温泉施設も隣接してできるとか。またひとつスーパー銭湯が増えるのも嬉しいが、そのころにはわたしはここにはいないのだ。
 いまでも稲毛海浜公園は綺麗なところで、海に隣接する広い公園はよく作られている。三陽メディアフラワーミュージアムという植物園がある。最初に入ったときが初夏であったか、温室ありガーデンありで、よく作られた植物園だと感心した。そこの庭園も西洋風で誰でも入れるが、わたしのお気に入りの場所で、ガーデンテーブルとベンチに座って、よろしく食事をしたり、読書をしたりする。どこか外国の風景を意識していつまでもいられる。四季の花がいつもどこかで咲いている。
 公園の中にはバーベキューをする森がある。今年はコロナで海もダメ、植物園もしばらくは閉鎖していた。だから、引っ越してきてから、さあ、泳ぐぞと息巻いていたのが、初年度から出鼻をくじかれた。大きな流れるプールもあったが、確か今年は土日だけの営業で、一回も行かなかった。どうも子供らに交じって、キャーキャーと遊ぶ老人の姿は想像したくない。
 ヨットハーバーやレストラン、日本庭園に稲毛の自然と歴史を展示する建物もある。ビーチの長さが3キロというから、歩いても疲れる。そんな海浜公園には、うちの前の道路を一直線に南下すれば、海に至るので分かりやすい。歩いたこともあるが、25分はかかる。自転車ならその半分で行ける。途中にも公園があり、民間飛行機が初めて飛んだ記念碑が建っている。初めは何かと思ったが、わたしがよくぼんやりとたたずみに行く公園の端にあった。その先の海浜公園にあった稲毛民間航空記念館は残念ながら閉館になり、入ったことがない。
 東京に一番近い海水浴場はどこかと地図で探して、上京してきた最初の夏にここに来ていた。千葉は遠いと思っていたが、いまは住んでみると実に交通の便はいい。稲毛海岸駅から京葉線で東京駅まで35分で行けるから、現在も高層マンションが次々にできている。都心で暮らすよりは、ちょっと離れた千葉がいまは人気が出てきている。
稲毛もリゾートとして施設を増やし、イメージアップを図り、都内からの移住者を増やそうとしているようだ。街として人口が増えてもまた困ることが起こる。いまのところは京成とJRと三本の線が通っているが、それも運行本数を増やして輸送能力を確保する余地はまだあるが、いずれ混雑は避けられない。晴海がそうだった。中央区ではもうマンションを建ててもらいたくないと、住人の不便と不満が解消できないでいた。病院や学校、保育所、アクセスの問題を人口増加と共に解決してゆかないと、地域が立ち行かなくなるのだ。千葉はまだ土地も広いし、余裕はありそうだ。都心からの移住者はますます増えてゆくだろう。


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