コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

小田原のコロナの湯へも

 二日目の1月4日だ。小田原の駅前商店街を歩いてみる。どこかで朝飯と探したが、まだ早いので閉めている店ばかり。商店街の空に風船がいっぱい浮かんでいる。ビニールのボールが色とりどりにテグスでビルの屋上に張られ、浮かんでいるように見えるのは、子供だけでなく大人も楽しい。
 駅前になんとも不思議なゲートがあり、おしゃれ横丁と書かれている飲み屋街なのだが、吸い込まれるように通ってみた。わたしの好きな昭和レトロの入り組んだ小路は、まだ店は閉めているが、夜はルミネーションが点くようになっている。小路の交差点上に照明になるのか風変わりなモニュメントが吊られてる。北条氏の墓所があると案内板があったが、迷い込んで行き着かなかった。飲み屋街に墓所とは、北条も不夜城に眠るのは悪い気はしないだろう。
 コーヒーショップより開いていないので、電車で次の目的の鴨宮駅までひと駅行ってみる。そこから歩いて行けるスーパー銭湯に行くのだ。スーパー銭湯のはしごはしたことがない。名前がコロナの湯というから面白いと、話のタネに行ってみようと思った。隣駅の国府津駅との中間にある。駅から若い子たちがぞろぞろと歩いているので、そっちのほうについてゆく。きっと、温泉の近くにヨーカドーやショッピングセンターがいろいろとあるので、その方向に行くに違いないと後をついてゆく。ところが、おばさんたちも、住宅街の細い小路を入ってゆく。何か様子がおかしい。わたしも続いて曲がったら、みんな消えていた。ミステリーだった。こんな家しかないところで、どこに消えたのか。
 大きな通りに出た。巡礼街道という。坂東三十三か所札所の巡礼の道なのだ。そこには全国チェーンの店が並ぶ。朝飯を思い出して、ディニーズに入る。モーニングセットにドリンクバーがついて390円と安い。ファミレスも久しぶりだ。ワイファイもあるので、調べものをする。
 コロナの湯の前にショッピングタウンがあって、そこを覗いてみる。いろんな店が張り付いて、広いが、スーパーしか用はない。そこで食品を見て、まだ買っていなかった干し柿を買う。
 コロナワールドと書いた看板で思い出した。青森にもあるのだ。なんだ、そこの支店かとがっかりした。そういえば、忘れていたが、コロナは温泉だけでなく、シネコンとパチンコ屋などのアミューズメントの全国チェーンなのだ。青森にはいまもあるが、映画はよく見に行った。3.11の地震で浴槽などの設備が壊されてから、温泉はやめている。あのときは、浅虫温泉のわたしの遠縁になる松園のホテルも修理費が高いので営業をやめて、ホテルは売却された。青森のコロナの湯には、随分と行った。青森も市内に38の温泉があるくらい、温泉の数では青森県は全国だんとつ一位なのだ。それでわたしも温泉好きになる。青森の人は車の中に温泉のタオルなどいつも置いているとか。料金も安かった。スーパー銭湯でも420円だったし、田舎に行けば、100円で入れる天然温泉もあった。
 今回のコロナでは、この温泉の知名度は上がったろう。イメージダウンになることもなく、客の入りは逆に増えたかもしれない。温泉のほうが名前は先なのだ。コロナビールにコロナのストーブもあって、迷惑していると前にニュースに出ていたが、たまたま名前が同じなだけで、感染するのは知名度だ。
 温泉に入ったが、昨日は二度入った後なので、体は綺麗だ。露天風呂はぬるい。全体的にぬるいのは37度ぐらいしかないのでは。体温と同じで、湯に入っていても、不感の湯で、感じないのだ。わたしはぬるめのほうが好きで、いつまでも入っていられる。ビーチチェアもあって寝そべる。太陽が照り付けて暖かい。日焼けするのではないか。富士山は風呂からは見えないが、外を歩いていたらすっきりと見えていた。ようやく雪が山肌を覆っていた。御殿場に行った二週間前には、山頂まで雪がなく、異変だと報じられていた。それでも雪はいつもの年より少ない。
 風呂から上がると、国府津駅から帰ろうと、線路伝いに歩いた。国府津駅からは御殿場線が出ている。次の駅が下曽我で、小田原市曽我谷津には、太宰の愛人の太田静子が疎開した家があった。太宰もそこに行った。10年くらい前に火事で焼け落ちて、保存の声もあったようだが、いまは建物は残っていないのだ。その焼け跡でも見たいと行ってみようと思ったが、住所が判らず、曽我も広範囲の田舎で、探すのも面倒だとやめた。雄山荘という別荘は『斜陽』の舞台になった。
 わたしは小田原市内だけでなく、鴨宮や国府津辺りのアパートも検索していたが、ここは何もないところで、住んでも不便なところだと、やはり交通の便で市街地がいいと決める。


 昼飯もどこかでと、歩いたが、それらしい店はない。まだ正月で閉めているところばかり。国府津駅前にはドアもがたがたのラーメン屋だけがあった。結局、電車で東京に向かい、車内でスーパーで買ったりんごパイとほうじ茶で済ませる。
 ここから東京駅までは一時間もかからない。長いと思った年末年始の休みもあっという間だった。明日で終わりだ。明後日からはまた仕事。政府は首都圏に緊急事態宣言を発出した。9日からまた身動きがとれなくなる。銭湯も春のように自粛して閉めるのだろうか。図書館もとなると、行くところがなくなる。旅行もダメ、飲食も控えてと、これで学校はどうなるか判らないが、リモート授業でわれわれも長い春休みとなれば、春まで冬眠しようか。


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