コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

初日の入

元旦に、初日の出を見に行こうと、スマホの目覚ましをかけていたが、夜中までテレビを見ていて寝不足で、起きるのが面倒になりやめにした。大晦日は感染者が爆発的に増えたこともあり、こんな出歩くなと警戒しているときに、のこのこと初日の出を見に行くというのも非難を浴びそうだ。おとなしくしていようと二度寝した。
 ここから初日の出を見るにそんなにかからない。電車で上総一宮駅の終点までは一時間もかからないで着く。そこは太平洋の九十九里浜だ。8年くらい前の夏に泳ぎに行ったことがある。朝の始発5時過ぎの快速に乗ってゆけば、6時過ぎに一宮駅に着き、そこからは歩いて確か30分くらいで長い浜に着くはずだ。天気は晴天とあるので、水平線に昇る初日の出は見たことがないので、近くだから行ってみようとリュックにビデオカメラも入れて準備していたが、眠気には勝てなかった。
 その代わりに、初夕日を見ようと、元日に海に沈む日の入りを見ることにした。
 ゆうべは、ジムに行ったり、買い物して帰ってきたが、帰り道に蕎麦屋が三軒並んでいる。二つの店には20人くらいが行列していたが、向かいの蕎麦屋は不味いのか、誰も並んでいなかった。年越し蕎麦か。それはスーパーで買ったので、それを食べることにしたが、どうも、いまだに年越し蕎麦は食べる習慣がないから、なくてもいいものだ。うちの親父が蕎麦屋も経営していたが、そのために毎年、年越し蕎麦の予約を取ったり、配達を手伝ったりはしていたが、それで毎年大晦日に仕方なく食べていた。青森は東京や関西とは違い、大晦日におせちだけでなく、御馳走を家族でいただく。元日はお雑煮だけ。おせちはゆうべの残り物になる。それだから、食卓に並びきれない御馳走に加えて、年越し蕎麦の置き場と出番がない。除夜の鐘を聴いたら、息子たちと蕎麦を食べたが、両親は「よく入るな、われわれはもういいよ」と、さんざん食べた後に蕎麦もかと驚いていた。
 東京に出てきて、大晦日に蕎麦屋にみんな並ぶ光景を初めて見た。大晦日は蕎麦で終わりというのも雪国のわたしには何か寂しい。
 スーパーでは一人用のおせちも折にして1980円で売っていたが、わたしは自分で好きなものだけ買っておいた。和菓子の口取りはなければいけないと、小さな四個ねりきりなどが入った和生セットを買った。栗きんとんや黒豆もみんな甘い。伊達巻も好きではないから、代わりに京風のだし巻きを買ってきたが後悔するくらい不味かった。
 翌朝はお雑煮も一人分なので、作るのも面倒くさい。手っ取り早く、松茸のお吸い物にだし醤油を少し足して味をととのえ、焼いた切り餅を入れただけ。他に三つ葉やゴボウ、大根といった具材はなしでいただく。年賀状がきている。返事で出す。テレビはまいどつまらない。昼からぶらりと出かけた。すぐ近くに千葉県でも大きな、由緒ある稲毛浅間神社がある。そこまで歩いて数分だ。初詣は分散してくれというから、それがどうなっているのかと見たい。そんなに混んではいなかった。着物姿も見えない。参拝したが、願い事もお礼もない。おみくじを引いたら、中吉で、幸先いいとある。旅行もよし、縁談もよし、出産は書かれていなかった。
 そこからイオンのショッピングセンターまで歩いた。京葉線の稲毛海岸駅前にあるマリンピア。たまに買い物に来るところだが、元日からやっていた。入口で検温。人はぱらぱらだが、普段より少ない。新春売り出しと福袋を別に買わないが見て歩くのは楽しい。ベンチに座って読書。『二年間のバカンス』という分厚い文庫本で、ジュール・ヴェルヌの小説だが、よく見たら『十五少年漂流記』だった。知らないで図書館から借りてきた。子供のときに読んだのは抄訳で、原作はこんなに分量がある。子供のときのようにわくわくと冒険物語を読んだ。それが初読書。フードコートに移動して、ポイントでドリンクをいただきながら読書の続き。よく見たら、じいさんでやはり本を読んでいるのがいた。奥さんたちは買い物で、それにつきあっていられないと、わたしも以前はそうだった。
 そこから夕方になり、海まで歩いた。辺りは暗くなり、夕焼けも遠い。少しゆっくりとしすぎた。入日は何時なのか。5時ころと思ったら、ちゃんと調べて動けばよかった。それでもいなげの浜に着いたときは、入日は沈んだが、夕景がすばらしい。みんな写真を撮っていた。富士山がシルエットになり綺麗な山容を見せていた。浮標が点滅し、遠くタンカーが浮かぶ。スカイツリーから幕張のビル群が見えていた。手前の松の枝ぶりもいい。黒と赤の世界だ。初日の出は見れなかったが、初日の入はよかった。恋人たちが抱き合っているのがシルエットになっていて、それも絵になる。
 帰りは一直線で帰れる。途中のスーパー2店も営業していた。そのうちのひとつに入ってみる。口取りの和生セットが半額で売られていた。買った。また太る。甘いものの食欲だけはある。それで歩いてカロリー消費と矛盾していないか。
 今年はどんな年になるものか。新しい年も歩くことから始まる。


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