コロナノコロ

コロナ生活から思うこと

じじ、フィットネスクラブに通う

 内科の医者から食事と運動と、糖尿病予備軍のわたしは診察のたびに脅かされてきた。怖い医者ほどありがたいものはない。叱るくらいでちょうどいい。怠けたかどうか、毎回の血液検査ですぐバレる。今回は、会社の健康診断からも、腎臓の再検査と手紙が来た。それを持って、今週は九段の内科受診だ。腎臓と言われたことはないが、最近は左足の親指がよく吊る。痛風ほどの痛みと頻度はないが、尿酸値が高いのだろう。プリンはそんなに食べていないのに。ビールも飲んでいない。それもこれも運動嫌いの自分をなんとかせにゃならんと、意を決して、稲毛駅前にあるフィットネスクラブに仕事帰りに入っていった。ネットで調べたら、そこが一番安く近いというだけのことだが、全国的に展開しているところらしい。外からビルの二階のジムがよく見えた。月額3千円のディーコースにする。24時間やっているが、朝の10時から夕方の5時までは安いのだ。何時間いてもいいし、毎日利用してもその料金だから、一日百円というのは安い。
 前に青森にいたとき、あれは10数年前だが、まだ浅虫温泉に家があったときは、古本屋から帰りに県営運動場が途中にあって、そこの施設を利用していた。県営だから安い。ジムもあり、ずらりといろんな機械が並べられ、あまり利用者はいないようで、がらんとしていた。1時間100円というから、階下にある温水プールも100円で、2時間いつも上下で体を鍛えて家に帰るということをしていた。あのときは、かあちゃんがいたので、飯支度や家事はしなくてもよかったからだ。だけど、それも数えるほどしか行っていない。仕事で疲れて、どうしてまた疲れなければならないのか、家に帰ると、夜は布団の中で若妻と残業で、疲れが三重奏になる。それであまり熱心には通わなかった。
 わたしは運動、スポーツが嫌いなのだ。小さいときからそうで、体育は小学生のときから、通信簿は2か3で、運動会はビリケツ。体育の時間が一番嫌いだった。それでも体を鍛えないといけないと、中学ではバスケット部でしごかれ、高校では水泳部で鍛えられた。基礎体力はそのときについた。
 相方はいつも言っていた。あなたは運動が嫌いだからダメなのよ、体を動かしなさいと。それで千代田区にいたときは、スクワットマシンと足踏みの機械やハンドグリップにゴム紐、ダンベルなどがあって、仕事で疲れて帰ると、鬼のコーチになり、「はい、毎日3百回ずつやる」と、家庭でもしごかれた。千葉に来たら、また鬼がいないので、ぐうたら生活で、ぶくぶくと太り、体重は元に戻る。そうすると医者に叱られる。体重を減らせ、メタボ解消、運動しろと、そこにも鬼がいた。


 そういう運動では意志薄弱のわたしは、自分を律するために、部活に入らないといけない。仕事帰りに寄れる、休みの日も通えて、週に四回は行ける。しかも少ないにしても月会費を払っていると、勿体ないという気持ちで義務化するだろう。
 入口でスタッフさんから説明を受けた。いまはコロナで、間隔を置いてやってもらうこと、マスクは常に着用と、見たら広いジムに数人よりいない。カラオケも暇で潰れているが、こうしたジムも経営難で赤字なのだろう。それで安くしているのか。出入りするときのカードキーを渡され、入口で入るときは顔認証で誰でも入れない。その写真も撮った。契約書もちゃんとしている。体調と持病も書かせられる。内科通院と書いたら、医師の許可がいるというから、医者は逆に運動しろと言っていますと、年だから、相手も慎重になる。万が一倒れたりすると、身内で連絡先も書かせられる。ホームページに自分のページが持てて管理できると教えてくれた。昼間の時間帯より利用できませんので、時間外では入れませんと言う。わたしとしても、通勤帰りで10時過ぎるので都合はいい。昼間のほうが何かと利用しやすい。サラリーマンたちは夜なのだろう。きっと夜間のほうが混んでいるのだ。カラオケも昼カラは安い。同じシステムなのだ。


 さっそく、まずは着るものと、イオンに行って、トレーニングウエアでもないが、それらしいジャージのボトムを買う。上は速乾性のTシャツにする。タオルも大きいのがあればいい。みんな、水分補給しながらやつているからと、恰好つけて、ボトルカバーもプリント柄を選ぶ。水素水が無料で飲める。靴はスニーカーでいい。
 次の仕事帰りに、眠いのだが、仕事で疲れてできるだろうかと、ジムに入る。機械の使い方は知っている。前に使ったのと同じものが、ずらりと何十台と並ぶ。日曜で混んでいるのかと思ったら、3連休中日で、みんな遊びに行っているからか、若い男女10人くらいよりいないで、機械は空いている。わたしだけが一人浮いていた。じじいなんか、こういうフィトネスクラブにはあまり来ないだろう。さっそく、端から上半身と下半身の筋肉をつけるマシンに挑戦。10数年前は50回ずつやったが、あのときは、まだ50代で、体力はあったのだろう。いまはようやく30回くらいが限界。ヨガマットで、腹筋やテレビで見た簡単なヨガポーズをしてみる。普段使わない筋肉を動かす。ランニングマシンとエアロバイクもふうふう言って使う。
 わたしはジムなんか、軽蔑して、あんなハムスターでもあるまいし、からからとケージの中で回し車で走らせられて、恥ずかしいと、反対論者であった。自転車で外を走れよ、歩くならいくらでも散歩したらいい。それがどうして機械の世話になるのだと。批判ばかりしていたのが、ここに来て、自分もハムスターになっている。ここは糖尿病患者たちのリハビリ施設なのだ。運動をするのは、美容と健康のためと美人の女の子たちもいて、目の保養にはなるが、いかんいかん、雑念が多すぎる。そんな不純な動機で始めたものではない。と、ちらちらと気は散るが、お姉ちゃんたちを見ないようにする。ここはわたしのような運動嫌いが使うための病棟なのだと思いたい。
 ウエイトリフテングまではゆかず、1時間半が経って正午になる。ちょうどいい時間だ。最初から飛ばしてもいけない。水素水を飲んで、シャワーも浴びる。いい汗をかいた。体が軽くなったように気がする。今夜は、体のあちこちが筋肉痛にならないといいが。
 標準体重までめざせマイナス14キロ! と目標値があるから、それに向けて週四でやってみるか。相方にメールでそのことを教えた。筋肉ムキムキマンになってやると。すると返信で、豚マン卒業ね、だとさ。


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