タワマンはバベルの塔
これからはタワマンは売れるのか。ネットでは買うものではないと将来に警告している。そんな高層ビルなんか建て替えることができないという。壊すのもどうするのか。莫大な解体費用を誰が負担するのか。びっしりと高層ビル群の街では、壊すのも危険が伴う。まして、鉄筋コンクリートも耐用年数があり、60年からと言われているが、若いときにタワマンを買った人は、建物の方が先にいかれる。人間の方が長生きでは、そういう問題に生きている間に直面することになる。震災の多い日本では大地震で設備が破壊、停電が長く続けば、50階に住む人は非常階段でどうやって買い物や水を歩いて運ぶのか。トイレも風呂も使えなくなるのが長期間に渡ると生活は破綻する。高層難民という本も読んだが、それが現実のものになる。
それと各地のタワマンが水害で地下の電気室が水没して、電気が何か月も使えないとか、その修復に莫大な費用がかかり、そのための修繕積立も間に合わない。空き室も目立つようになり、遺族は遺産放棄で、引き取り手のない部屋ばかりになる。少子化で子供がいない人もいるし、いても、別のところに家を持ち、相続しないというのが増えてくると、タワマンもゴーストビルになる。積み立て金と共益費が残された住民にどっとかかって、そのころは現役ではなく少ない年金生活の高齢者ばかりで、7万も8万も月に払えるかとなる。自分たちの部屋も老朽化してきて、リフォームが必要になる。その費用も莫大で、もはや高齢なのでローンは組めないし老後資金も枯渇してくる。建物と一緒に入居者も老朽化してくるそんなタワマンが後十数年で全国に増えるのだ。
わたしの次男はいまは江東区に戸建てを買ったが、その前は豊洲のタワマンで暮らしていた。彼はその前は千葉県柏市に2LDKの広いマンションを購入して住んでいた。わたしもよく海外旅行の後先にそこに泊まりに行ったが、バルコニーだけでも15畳はありそうな広さの新築マンションを購入していた。住んで5年もしないのに福島原発事故があり、柏市が放射能スポットになって、子どもらの外出を控えてとか水道水は飲まないようにと、学校でも窓は閉めたままという異常な日々が続いて、息子はそこを売って、豊洲の賃貸タワマンに引っ越した。わたしはこれからは何があるか判らないので、不動産は買うな、借りたらいいと息子たちに話していた。
豊洲のタワマンは敷地内にスーパーとホームセンターがあるツインタワーで50階建。その38階を借りていたが、最初に泊まりに行ったら、驚いたのがホテルのようなフロントにCAのような服装をしたコンシェルジュのお姉さんが三人もいて、エントランスは吹き抜けで高く、セキュリティは三重になっていて面倒くさい。部屋は2LDKの狭いところで、孫娘二人の部屋に夫婦の部屋にリビングだけ。そこに犬と猫もいて、わたしの寝るところはソファだった。大きなガラス窓からは羽田空港に離着陸するジェット機が見え、お台場やレインボーブリッジが見えていた。眺めはいいが、高所恐怖症では窓際に立ってもいられない。犬は人なつっこい小型犬だが、わたしは犬が好きではなく、そいつはいつもしっぽを振って、隙あらばわたしに飛び掛かって、親愛の情でわたしの口を舐めまわす。やめろと、わたしは汚がる。犬って自分の糞も食べるというのも聴いた。その舌でおまえとキスなんかしたくない、あっちに行けと、手で追っても、それが遊びと思って寄って来る。なるべく犬と目を合わせないようにしていた。猫は好きだが気儘ですり寄ってこない。高い家賃を払ってもそんな狭いところでエレベーターも朝は混み、待たされて三重の入口を通過して、地下鉄駅までまた歩く。都会のタワマンは外に出るまでの時間が長いことだ。年寄りは住めないだろう。
相方と東欧を周遊してきて帰国したとき、豊洲の息子のところに泊めてもらった。そのときは、部屋が狭いからと建物の中にあるVIPルームに泊めてくれた。そういう来客用の部屋があることに驚いた。ホテルのように設備がよく、見晴らしは抜群で夜景を見ながら相方と帰国第一夜をソファで飲んだ。
そのタワマンで配送問題が起こっている。ニュースにあったが、宅配便が止まる駐車スペースがないから路駐になり、駐車違反で切符を切られる。それでは仕事にならない。息子もアマゾンと佐川の配達を去年までしていたが、横浜のマンション村では下から上まで長い通路を歩いて、入り組んだコンコースをさらに上へ上へと歩いてたった運送費百円もしない荷物を玄関まで配達しないといけないこともあるとか。タワマンは配達はしたくないと言っていた。効率が悪すぎる。宅配ボックスもあるところとないところがあるが、年寄りばかりだと、玄関での引き渡しが多くなる。みんな下の下まで高層のビルを下りてくるのが億劫なのだ。業者泣かせで、駐車スペースのないところはこれからは配達できないと断るかもしれない。そうなれば、住んでいる人たちが困る。配達員が拒否すると、通販でモノが買えなくなる。
息子はさらに台車も使うな、床に傷がつくと言われて、ミネラルウォーターなど重いものを手で運んで嫌になったと話していた。ウォーターサーバーの水は重いだけで配達料がそんなにいただけない。それでドライバーたちが嫌がる荷物なのだ。それもやらないと拒否すれば、水商売もできなくなる。息子はいまはアマゾンの内勤で、たまに人が休むとピンチヒッターで配達に代わりに出るぐらいで、楽にはなったと言うが、次々に配達員が辞めてゆくのはタワマンのせいもある。
いま、越後湯沢や避暑地などの別荘に使ったリゾートマンションもタワマンばかりで、そこも売れないで大変なようだ。何千万もしたマンションがたった10万円で売りに出されていても売れない。一時、わたしも平塚に来るときに、熱海や伊東でそういう物件を見て買おうかと老後の終の棲家にしようと考えて見に行ったことがあった。預貯金で買える値段だが、入居率が悪い。温泉付きでプールもあって、トレーニングジムもあるとか、設備の老朽化もあって、実際は使われていなかったり、共益費がべらぼうに高かったりと、それなら市内の賃貸マンションを借りたほうが安いと計算した。将来は売りに出しても売れないで、死んだら遺族の負動産になり、遺産相続放棄するよりない。限定集落も問題になり、若いときはよかったが、高齢になると病院も遠く、車も乗れず、公共交通のバスの便も悪くなり、スーパーや介護施設もないところで、どうやって老人は暮らすのか。それで後悔している人たちはいっぱいいるとか。これからは不動産は買わないことだ。賃貸でいい。何があるか判らない。都心でもこれからは不動産価格は下がるだろう。投資対象で上がっても、買うひとがいないと実際は売買価格は下がっているとか。そのうち日本全国にタワマンの墓場ができる。それはバベルの塔のように神の逆鱗に触れて将来はカオスになるのだ。